『遺言書の内容と違う相続はできるの?』
先日、A婦人がお父様の公正証書遺言と手書きのメモを持ってご相談に見えました。
A婦人) 先日、父が亡くなり相続が発生しました。父は10年前に公正証書で遺
言を残してくれていました。その遺言書によると自宅は私が相続して残り
の預金については、相続人皆で平等に分けるという内容でした。父の相
続人は、娘の私と、3年前に亡くなっている私の兄の子供である甥と姪の
三人です。
秋子) では、遺産分割協議と相続には何の問題もなさそうですね。しかし、
10年前と今とで、お父様のお考え変わっていないといいのですが、、、
A婦人) そうなのです。実は父が亡くなる直前に残したメモがありました。
そのメモによると、ずっと父を介護してくれていた姪に自宅を残したい
と言うのです。私も甥も、できれば父の自宅は姪に引継いでほしいと思
っています。
10年前に父が遺言書を作った時には、私が父と同居をしていたのです
が、夫の海外赴任で引越しをすることになり、代わりに兄が家族と同居を
していました、その後もずっと姪が面倒を見てくれていたのですが、その
頃には父も体が弱ってしまい遺言を作り直す体力がなかったようです。
秋子) なるほど。実際には遺言と異なる内容の遺産分割協議はよく行われてい
ます。相続人全員が遺言の内容を知っている場合であれば、原則として、
相続人全員の同意があれば、遺言と異なる内容の遺産分割協議をすること
は可能です。
ただし、遺言者が遺言と異なる遺産分割を禁じていたり、既に遺言に従
って分割を済ませていた場合には問題があります。
A婦人) そうですか。遺言を確認したところ、特に問題はなさそうです。父も私
もずっと気にしていたのですが、父の自宅を姪に残すことができそうなの
でホッとしています。そういえば、相続税の申告はどうしたらよいのでし
ょうか?父の自宅部分について私から姪への贈与になってしまいますか?
秋子) それは良かったです。最後の遺志どおりに相続が行われて、お父様もお喜
びでしょう。相続税の申告については、実際の遺産分割協議書に基づいた
申告を行います。今回の場合には原則として贈与税の課税などは生じない
こととなります。
A婦人) では、引き続き相続税の申告準備を進めていかなければならないですね。
問い合わせ先 0120-944-733
事業財産承継部:石井
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