中小企業においては、『株主と取締役が同一人物で、なおかつ、その方が代表取締役を務めている』というのは良くみられます。そのような中小企業の場合、株主総会を実際には開催せず、書面上で株主総会議事録を作成して終わりというのが実情ではないでしょうか。
しかし、原則論を申しますと、原則株主総会の2週間前までに株主に対して召集通知を発送し、その上で株主総会を開催しなければなりません。
今回は、中小企業には一般的になじみのない株主総会ではありますが、株主総会決議である普通決議、特別決議そして特殊決議について、定足数・議決権要件などご説明させて頂きます。
株主総会決議の比較
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定 足 数 |
議 決 権 |
普通決議 |
行使可能議決権の過半数 |
出席株主の議決権の過半数 |
特別決議 |
行使可能議決権の過半数 |
出席株主の議決権の3分の2以上 |
3項特殊決議 |
―
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議決権行使可能株主の半数以上 + 行使可能議決権の3分の2以上 |
4項特殊決議 |
総株主の半数以上 + 総株主の議決権の4分の3以上 |
上記表の定足数とは、株主総会が成立するために必要な株主の参加数(議決権数)をいい、議決権とは、議案が決議されるために必要な議決権数をいいます。なお、下記に株主総会における特別決議のうち、一般的なものをご紹介させて頂きます。
1号 |
譲渡制限株式の譲渡不承認の場合の会社による買受け |
2号 |
特定の株主からの自己株式の買受け |
3号 |
譲渡制限株式の相続人等に対する売渡請求 |
9号 |
資本金額の減少 |
11号 |
定款変更 事業譲渡契約等の承認 株主総会決議による解散 |
12号 |
吸収合併契約の承認 |
相続税対策のために、株式の一部を従業員持株会に放出するといったことは、中小企業において散見されます。そのような場合、どの程度の株式を親族で保有しておくべきかという議論になり、特別決議の可決要件である3分の2以上、つまり67%が一つの目安に考えられますが、画一的にそのように考えるのではなく、現社長や後継者の年齢、親族関係、従業員との関係、労働組合の有無等々、会社の実情に応じて設計する必要があります。
弊社では、株主構成の設計、従業員持株会導入、少数株主対策等々、資本政策を中心に業務を行っておりますので、会社の株式について不安や悩みがある方は、お気軽にご相談下さい。
問い合わせ先 0120-944-733
事業財産承継部:清水
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