養子の数について、現行税制では、相続税を計算する上で一定の制限が設けられておりますが、以前は養子の数を増やせば増やすほど、相続税対策になるということもあり、実際、相続税対策のために、20人以上の養子縁組をした方もいらっしゃったようです。私もこの事実を雑誌で読んで知ったのみで、実際に当事者に会ってお話をお伺いしたわけではないのですが、養子は実子と同じ権利義務を有することとなりますので、実際に相続が発生したときは、さぞや遺産分割の話し合いが紛糾したのではなかろうかという思いがします。
さて、今回は相続税という税金のお話ではなく、民法上の養子縁組についてお話をさせて頂きます。
養子縁組とは、人為的に親子関係を創設する制度をいい、養子縁組制度には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。双方ともに人為的・擬制的な親子関係を創設するという点では相違ありませんが、「特別養子」は家庭的に恵まれない子の福祉のための養子制度という側面が強い為、二つの制度の間には下記の相違点があります。
1普通養子縁組
年 齢:養親は成年に達していること
養子は制限無し(ただし、養親の尊属や年長者は不可)
効 果:実方の父母及びその血族との親族関係は、縁組後も存続する。
戸籍の記載:養子であることを如実に記載する。
2特別養子縁組
年 齢:養親は配偶者があり、一方が25歳、他方が20歳に達していること
養子は縁組請求時に6歳未満であること
効 果:実方の父母及びその血族との親族関係は、縁組後は原則として終了する。
戸籍の記載:一見しただけでは養子であることが分からないように記載する。
上記からも分かるように、普通養子はどちらかというと養親側の扶養という観点から、特別養子は養子側の福祉という観点から制度化されておりますので、このような相違点があります。
子供がいない、後継者がいない、老後の面倒を見てくれる人がいない、等々様々な理由から養子制度が利用されますが、養子は実子と全く遜色のない『権利と義務』があることをお互いが認識し、権利のみを主張して、義務の履行を怠ることがないよう、制度趣旨をよく理解した上で、養子縁組を行うようにしましょう。
問合せ先:0120-944-733
事業財産承継部 清水
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