平成22年度税制改正大綱が、平成21年12月22日に公表されました。
新聞各紙に改正案の概要が掲載されましたので、ご確認された方も多いかと思います。
今回は前回に続き、小規模宅地等に係る税制改正案について確認してみましょう。
《 小規模宅地等に係る特例の改正 ② 》
改正案の中で、小規模宅地等に係る特例について、下記の変更が予定されています。
「一の宅地等について共同相続があった場合には、取得した者ごとに適用要件を判定します。」
「相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等(現行200㎡まで50%減額)を適用対象から除外します。」
(平成22年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する小規模宅地等に係る相続税について適用します。)
この改正案について、事例で考えてみましょう。
【事例】
父が土地・建物を所有し、その建物に父と母が居住していました。(長男は持家があり、その持家に居住しています。)父が亡くなり、母と長男が土地・建物を1/2ずつ相続し母がそのまま居住し続けた場合には、小規模宅地等に係る特例はどうなりますか?
〔現行制度〕
敷地を数人で相続した場合には、その取得者のうち1人でも特定居住用宅地等に係る適用要件に該当する親族がいれば、敷地全体が特定居住用宅地等に該当し、敷地全体のうち240㎡までの部分について評価額の80%を減額することができます。
上記事例では、母が相続した敷地部分が特定居住用宅地等に該当するので、敷地全体が特定居住用宅地等に該当し、敷地全体のうち240㎡までの部分について評価額の80%を減額することができます。
〔改正案の場合〕
改正案によると、小規模宅地等に係る特例の適用は、取得した者ごとに判定することになりそうです。
改正案を読む限り、上記の事例の取り扱いは、下記のようになることが予想されます。
①配偶者が相続した土地1/2については、特定居住用宅地等に該当し、240㎡までの部分について評価額の80%を減額することができます。
②長男が相続した土地1/2については、長男は持家があり、相続した物件に住まないの で、小規模宅地等に係る特例の適用対象から外れてしまい、特例を適用することがで きません。
小規模宅地等に係る特例は、相続税の計算に大きな影響を与えますので、今後の取り扱いについて注意が必要です。
(注)平成23年度税制改正において、相続税の課税ベース、税率構造の見直しも予定されているようです。
問い合わせ先:0120-944-733
事業財産承継部 樋口
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