今まで2回(11/29、2/18)にわたり金庫株の法務と税務について書いてきましたが今回はその3として、「みなし配当」についてご説明します。
<オーナーが金庫株として株式を売却したときの税務>
自己株式として取得する法人にその株式を譲渡(売却)した株主には「みなし配当」が生じます。ただし、これは同族会社や非上場会社のオーナー個人等が金庫株として発行法人に株式を譲渡(売却)する際の問題で、上場会社等の市場買付や公開買付による自己株式の取得に応じて株式を売却した場合には「みなし配当」課税は行なわれません。
同族会社や非上場会社のオーナー個人等が金庫株として発行法人に株式を譲渡した場合、オーナー個人等は、みなし配当の配当所得と株式譲渡の譲渡所得の両側の課税関係が生じます。
【例】取得価額1億円の株式を5億円で発行会社に売却。
売却した5億円に対応する発行会社の資本金は1億円、資本積立金5,000万円、残り3億5,000万円は利益積立金からなっているとします。
この場合、下の図のように資本金等の額と取得価額との差が譲渡所得となり、譲渡価額のうち資本金等の額を超えた部分がみなし配当所得となります。
この例では取得価額は1億円としましたが、仮に2億円で取得していたとすると次の図の通りになります。
この譲渡損は他の株式の譲渡益とは通算できますが、みなし配当とは 通算できません。したがって、みなし配当3.5億円は配当所得としての課税があります。
株式譲渡所得に対する課税は現在分離課税で一律20%(所得税15%、住民税5%)ですが、みなし配当の配当所得に対しては総合課税で税率は最高で50%(配当控除は考慮していません。)になってしまうので注意が必要です。
問合せ先:0120-944-733
事業財産承継部 新垣
最近のコメント