今回は種類株式のうち、配当優先株式の評価についてお話しいたします。
配当について優先・劣後のある株式を発行している会社の株式評価は、次のとおりです。
1. 類似業種比準方式により評価する場合
株式の種類ごとにその株式に係る配当金(資本金等の額の減少によるものを除く。以下同じ。)によって評価
↓
配当金の多寡は、比準要素のうち「1株当たりの配当金額(B)」に影響するので、「1株当たりの配当金額(B)」は、株式の種類ごとにその株式に係る実際の配当金により計算
《計算例》
①発行済株式数 30,000株(配当優先株式10,000株 普通株式20,000株)
②資本金等の額 15,000千円
③1株当たりの資本金等の額 500円(15,000千円÷30,000株)
④1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数 300,000株(15,000千円÷50株)
⑤年配当金額
直前期 配当優先株式 500千円 普通株式900千円
直前々期 配当優先株式 500千円 普通株式900千円
⑥年利益金額 12,000千円
⑦利益積立金額 30,000千円
⑧類似業種比準株価等 A(株価)=400円
B(1株当たりの配当金額)=4.4円
C(1株当たりの利益金額)=31円
D(1株当たりの簿価純資産価額)=285円
【計算】
1. 1株当たりの年配当金額(B)の計算
(1) 配当優先株式
(500千円+500千円)÷2÷(300,000株×10,000株÷30,000株)=5円00銭
(2) 普通株式
(900千円+900千円)÷2÷(300,000株×20,000株÷30,000株)=4円50銭
2. 1株当たりの年利益金額(C)の計算
12,000千円÷300,000株=40円
3. 1株当たりの純資産価額(D)の計算
(15,000千円+30,000千円)÷300,000=150円
4. 類似業種比準価額の計算
(1) 配当優先株式
① 1株(50円)当たりの比準価額
配当5.0÷4.4=1.13 利益40÷31×3=3.87 純資産150÷285=0.52
(1.13+3.87+0.52)÷5=1.10
400円×1.10×0.7(注)=308.00円
② 1株当たりの比準価額
308.00円×500円÷50円=3,080円
(2) 普通株式
① 1株(50円)当たりの比準価額
配当4.5÷4.4=1.02 利益40÷31×3=3.87 純資産150÷285=0.52
(1.02+3.87+0.52)÷5=1.08
400円×1.08×0.7(注)=302.40円
② 1株当たりの比準価額
302.40円×500円÷50円=3,024円
(注) 大会社を前提で計算
2. 純資産価額方式により評価する場合
配当の有無にかかわらず、従来どおり財産評価基本通達(以下「評価通達」)という。)185(純資産価額)の定めにより評価
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