三浦綾子氏の小説『積木の箱・上巻』(新潮文庫)に、次のような言葉がでている。
「Aは事業に失敗して、ある日デパートの屋上にあがり、そこから飛び降りて自殺した。
Bは事業に失敗してデパートの屋上にあがった。飛びおりて死のうと思ったが、死ぬ気になれば何でもできると思って自殺するのをやめた。
Cは事業に失敗して、・・・。Dは事業に失敗して・・・。」同じような重大問題が発生して同じような状況に直面しても、
上記の如く最後に採る行動は人によって区々になるものである。人は知識や日常の見聞によって、
ある困難な状況が発生すると絶望的な結果の暗示を受けてしまうことがある。幼児・児童に自殺が少ないのは、
一般に状況に対する結果の予備知識や経験がほとんど無い為に困難が発生する暗示を受け難いことによる。では、前向きな生き方の要件は何か。
第1に、難病や倒産等の結末を曖昧な知識や恐怖感だけで判断せず、解決に役立つ正確な情報や人脈を探求することである。
第2に、1+1がいつも2とは思わないことである。原因や状況が同じであっても、人間社会の結末は実に様々である。
第3に、本当の幸せを掴む発端は、意外にも何かの困難や不幸に直面したことによって起こることが多いと知るべきである。
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