「苦難は幸福の門」――というのは、倫理研究所を創始した丸山敏雄氏の言葉である。
苦難は生活の不自然さ、心のゆがみの映った危険信号であり、ここに幸福に入る門がある。
従って、苦難を忌み嫌うのではなく、喜んで取り組み、苦難の原因になっている生活のあやまり、
心の不自然さを取り去ると、かつ然として幸福の天地がひらけてくる、と述べられている。
「大悪起これば大善来る」と仏法では言われている。小さなよいことは、日常の中でもしょっちゅう起こる。
しかし、大善――本当に大きなよいことは、こんな苦しみはもういやだと言いたくなるような、
大悪が起こったあとにやって来る、というのである。耐え切れないような大きな苦しみや困難や障害がおそってきた時に、
もう駄目だと投げ出すのではなく、ここを越えれば、必ず大善――本当に大きなよきことがやってくる、
これはその前兆だと信じて、その波を越えて行けと仏法は説いているのだ。
「小さな人生論 “致知”の言葉・致知出版社より藤尾秀昭著)
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