こうしてお話しすると、波乱ばかりの人生ですが、当時は泣き出したくなるほど辛かった出来事を、
今は楽しく思い出せるようになりました。
不思議なもので、楽しかった出来事はあまり覚えていないのです。
人間は未来に生きるように作られているのだと思います。
波乱の只中にいる時には、ある種のあきらめが大事だと思うのです。
例えば社長在任中に、胃ガンだと聞かされた時。
最初は驚きましたが、「もう先生にお任せするしかない」と考えたら気が楽になった。
自分の力でどうしようもないことは、あるがままに受け入れるしかないのです。
仕事も同じ。
自分1人で全部はできないのだから、任せるところは任せて楽になった方がいい。
しかし実際には他人に任せるとイライラして、自分でやりたくなる。
でも、それでは人が育たないのです。
同期で一番遅く課長になり、部長になれないから部を作った私が、丸紅の社長になった。
仕事柄、様々な国の元首と知り合いになりましたが、今も権力の座にある人はほとんどいない。
多少遅れていても焦る必要はないし、強いものもいずれは滅びる。
そんな経験を積むうちに、ある種のバランス感覚が身についたのかもしれません。
コメント