都内で会社を経営されているA社長が相続についてご相談にいらっしゃいました。
A社長)今まであまり相続について意識してこなかったのだけれど、経営している会社
への貸付金も相続財産になるって聞いたんだ。創業時からの設備投資や不動産
投資の際に貸し付けた貸付金が今1億円にもなっているんだよ。
秋子)そうですね。会社にとっての借入金、社長からすれば会社への貸付金であり、
金銭債権として相続財産となります。
A社長)ということは、すぐに返済される予定もないのに貸付金にも相続税がかかっ
てくるってことだよね。何かいい対策はないのかな。
秋子)貸付金は額面金額がそのまま相続税評価額になりますから、多額であればそれ
だけ納める相続税も多額になります。平成27年1月1日以降の相続税の計算から
基礎控除額が3,000万円+600万円×法定相続人に縮小されますし、対策が必要
になりそうですね。
秋子)申告書を見てみますと会社に貸付金以上の青色繰越欠損金がありますね。
それなら社長が貸付金を債権放棄する方法があります。
A社長)そうするとどうなるの?
秋子)債権放棄をすることで社長の相続財産はその分減少することになります。会社
側では債務免除益が発生することになりますが、青色繰越欠損金が同額あれば
債務免除益に対しては課税されません。債務免除をすることで、会社の株価が
上がった場合には株主に対して債務免除前と後との差額に対して贈与税が課税
されます。なので免除した後にどれくらい株価が上昇してそれに対して贈与税
がいくら発生するのかを確認して実行することが重要です。
A社長)う~ん・・・贈与税も計算するのか。相続税が減って法人税も課税されない
のはいいね。だけど貸付金は戻ってこないことになるんだろう?他にいい方
法はないかな。
秋子)そうですね。DES(デット・エクイティ・スワップ)というものもあります。
いわゆる債権の株式化です。社長の貸付金(会社にとっての借入金)の消滅と
引き換えに会社の増資を行う手法です。
A社長)なるほど。でも増資をするってことは法人住民税の均等割が増額される場合
もあるんじゃないのか。
秋子)おっしゃるとおりです。他にも注意する点があります。しかしながらこの方法
ですと貸付金が御社の株式に置き換わりますので、貸付金分の財産が消滅する
ことはありません。さらに株価対策をすることで貸付金の額面金額より低い
相続税評価額が計算されることも期待できます。
A社長)貸付金の額面より低い評価になればその分相続税の節税になるわけか。
秋子)そのとおりです。また債務免除とDESのどちらか一方にする必要はありません
ので、うまく両方を活用することも可能です。
この機会に社長の相続税を計算し、相続税対策を検討しませんか。
A社長)それじゃお願いしてみようかな。
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事業財産承継部:斎藤
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