稲盛和夫氏。
京セラの創業者であり、経営破綻に陥った日本航空を僅か二年八か月で再上場に導いた名経営者である。
この稲盛氏が新卒で入社した会社はスト続きで給与は遅配。
嫌気がさした稲盛氏は自衛隊に転職しようとするが、実兄の反対を受け、そのまま会社に止まった。
鬱々とした日が続いた。
会社から寮への帰り道、「故郷」を歌うと思わず涙がこぼれたという。
こぼれた涙を拭って、こんな生活をしていても仕方がない、と稲盛氏は思った。
自分は素晴らしい会社に勤めているのだ、素晴らしい仕事をしているのだ、と思うことにした。
無理矢理そう思い込み、仕事に励んだ。
すると不思議なもので、あれほど嫌だった会社が好きになり、仕事が面白くなってきたのだ。
通勤の時間が惜しくなり、布団や鍋釜を工場に持ち込み、寝泊りして仕事に打ち込むようになる。
仕事が楽しくてならなくなったのだ。
そのうちに一つの部署のリーダーを任され、赤字続きの会社で唯一黒字を出す部門にまで成長させた。
稲盛氏はいう。
「会社を好きになったこと、仕事を好きになったこと、そのことによって今日の私がある」
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「長の十訓」藤尾秀昭 著 致知出版社より
([kei]さんのブログ「魂が震える話」より抜粋)
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