『食べ物の大切さ』（メール「魂が震える話」より）（第1885号）

中国に伝わるお話です。

昔、ある裕福な商人が住んでいた。

贅沢三昧の生活を送り、食べ残した多くの食糧は毎日、召使いに命じて家の裏の小さな川に捨てていた。

こうして数年の間に、大量の食料が捨てられた。

その川の下流にある寺の住職は、金持ちの商人がいつも食べ物を無駄にするのを見ては、非常に心を痛めていた。

彼は、川に捨てられた食べ物を若い僧侶にすくい上げさせた。

すくい上げた食べ物はきれいに洗った後に干して、保存した。

数年の月日が流れ、裕福な商人は大きな事業に失敗し、全財産を失った。

商人は三度の食事もろくに摂ることができないほど、貧乏になってしまった。

彼は仕方なく、町中をうろうろしながら物乞いをし、飢えを凌いだ。

ある日、お寺に来た彼を住職が見つけ、ご飯を食べさせた。

彼は腹ペコで、食卓につくやいなや、がつがつと食べ始めた。

その様子を見ていた住職は、

「この食べ物は、以前あなたが川に捨てたものです。

食卓に上がってきた米の一粒一粒にどれほど多くの苦労が込められているかご存知ですか？」

と厳粛な口調で言った。

商人は住職の話しを聞くと、自分を恥じて頭を上げられなくなった。

この時から彼は態度を改め、勤勉に働き、倹約に励んだ。

数年後、彼は再び富裕になることができた。

食べ物は大切。

そのことを教えてくれるお話です。

食べ物あっての身体で、身体は食べ物によってつくられている。

仕事も遊びも、身体が大切。

健康に気をつけて、食べ物を大切に扱っていきます。