地下鉄の階段で、白い杖の人をヘルプした。
乗り換えの電車の中へと誘導し、
手摺りのポールに掴まってもらう。
「お気をつけて」
と声をかけた瞬間のことだった。
少し離れた席に座っていた若い女性が、
走ってきた。そして「どうぞ、こちらへ」
と白い杖の人の腕を引いた。
(プシュー)
そこでドアが閉まった。
ふと、小学生の時の、クラス対抗リレーを思い出した。
バトンが気持ちよく手渡された瞬間ほど、
心地よいものはない。
走り出す電車の車窓に、お二人の笑顔が見えた。
知らない人にバトンが渡った。
その次も、またその次も、「プチ紳士」のリレーが続くといいなぁと心の中で
祈った。
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