企業の利益水準が10年位の経過で見ると顕著に下降する傾向を示している場合、その典型的原因のひとつに人権費の増加があります。
人件費の増加原因
このような人件費の増加は、次のように“年功賃金”と“高齢化”が結びついて生じる場合が多いと言えます。
① 処遇制度の基軸として「職能資格制度」が使われ、「資格が上がれば賃金も上がる仕組み」になっている。 ② 本来は職務遂行能力が上がれば等級が上がる「職能資格制度」が、運用の甘さで実際には年功的運用になっている。 ③ 高齢化が進み、高資格者が増え、したがって総額人件費が増えている。 |
視点を変えれば、“年功賃金”ではない、
“役割別賃金・成果主義賃金・職務別賃金”など、脱年功型の賃金制度が確立されていないからだとも言えます。
日本経団連・東京経営者協会の2012年度の人事賃金制度実態調査によれば、図表に示す通り、人事処遇制度の基軸を年功的運用実態の可能性が高い「職務遂行能力」としている企業が、管理職で現在30%程度、非管理職で50%超、と全体に脱年功型移行の努力は不十分です。
人事処遇制度の基軸の変化
区分 |
企業数 |
企業数を100%とする企業の比率 |
|||||
仕事職務 |
職務遂行能力 |
役割 |
成果 |
年齢勤続 |
|||
管理職 |
現在 |
412 |
15.5 % |
32.0 |
24.0 |
26.2 |
2.2 |
今後 |
398 |
15・3 % |
29.6 |
23.9 |
29.9 |
1.3 |
|
非管理職 |
現在 |
411 |
13.6 % |
53.5 |
12.9 |
9.7 |
10.2 |
今後 |
397 |
13.6 % |
53.4 |
13.1 |
13.9 |
6.0 |
年功賃金脱出のポイント
年功賃金から脱出するポイントは、
① 管理職・非管理職に関わらず、役割・責任を明確にし、業績に応じて給与・賞与を支給する賃金体系とする。 ② 成果・業績の評価基準を明確にして、公正性・納得性を重視して運用する。 |
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