企業によっては、事業を個別化できないケースもあります。こうした企業では、疑似分権組織を採用することで分権組織のメリットを享受できます。
疑似分権組織の特徴
巨大企業ながら、事業を個別に扱えない組織があります。規模が大き過ぎて職能別組織では効率的に機能しない場合、疑似分権組織に移行する方法があります。
擬似分権組織では、組織の機能を、あたかもそれぞれが事業体であるかのように分割し、分割した疑似事業体には可能な限りの自立性を持たせます。事業体同士が社内で決められたレートで疑似的に取引を行うことで、損益に関する責任も明確にします。
疑似分権組織のメリットとデメリット
疑似分権組織では、規模の拡大で職能別組織が陥る機能不全を防げる点が最大のメリットです。しかし、この組織は、組織の基本的設計仕様である「明快さ」を満たしません。また、「経済性」「コミュニケーション」「意思決定」においても問題が見られます。さらに、社内のレートによる利益は、市場から得られた利益とは異なる性格のものです。レートの算定を変えることで、利益幅も大きく変わる危険性を伴います。
このようなことから、疑似分権制はあくまでも最後の手段と考えるべきです。仮に組織の規模が大きくなり過ぎた場合、まず分権組織の本格的適用を考えることが原則です。
本来は分割できない事業は疑似的に分権化
メリット
・規模の大きさからくる機能不全の回避など、分権制が持つメリットを享受できる
デメリット
・明快さや経済性に問題あり
・社内レートは簡単に変えられ、利益の算出が困難
職能別組織が機能している場合
職能別組織がうまく機能している中小規模の組織の場合、無理に疑似分権組織を導入するのは避けるべきです。
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