企業には質的に異なる2つの社会的責任があります。第1に自らの活動によって生まれたもの、第2に自らの活動とは関わりなく社会にあるものです。こうした責任に企業が対応していく際に、念頭に置くべきなのが、社会的責任を「機会」に変えるということです。
責任を機会に変える
企業が起こした社会的責任(前節の第1の責任)に対処するには、
① 悪影響を見極める
② 悪影響の原因となっている活動を特定する
③ その活動を取りやめる
これが最も効果的な手法になります。
しかし、通常、企業の活動は中止できません。そこで、悪影響を取り除くその行為を、事業機会に変えるよう仕向けます。これは、企業にとって最も理想的な責任対処法といえるでしょう。
例えば、大気汚染を招いた企業が、大気汚染を緩和する技術を開発し市場を獲得するなどはその一例です。
社会的責任は回避できません。とすれば、責任を前向きに捉えることの重要性がわかると思います。
社会問題と対時する
社会自体の問題に対する企業の責任については、社会的問題は企業の経営者からすると「挑戦」であり「機会の大きな源泉」です。社会問題を解決することは、すなわち社会的 イノベーションを意味するからです。よって、これはまさに、企業の社会的責任とイノベーション、双方を満足させる活動なのです。
技術の社会的評価と監視
新技術を社会に導入する場合、新しい技術が社会にどのような影響を及ぼすか見極めることが不可欠になる。これをテクノロジー・アセスメントと呼びます。また、新たな技術が社会に導入された後では、テクノロジーモニタリング(技術監視)が不可欠になります。これらも、企業の社会的責任の一環として行うべき活動です。
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