「相対評価基準」とは目標管理における業績評価の場合を例にとると、1次評価が、通常「上司と担当者が、目標設定の際に合意して決めた具体的な目標達成基準」に基づいて評価するのに対して、2次評価~最終評価までは、「目標達成度を自部署の社員間、他部署の所属社員と相対的に比較・評価することが必要になり、その際用いる比較評価基準」のことを言います。
業績評価のランクをS・A・B・C・Dの5段階とすれば、1次評価の結果をそのまま最終評価とすると、多くの場合上位ランクに偏ることになり、賃金原資(例えば賞与原資)の公正・納得性の高い配分がなされにくい結果となりますから、一般に所定の分布(通常正規分布)に当てはめるために1次評価を見直して2次評価~最終評価を決定する「相対評価」が必要となります。
相対評価基準統一の必要性
1次評価が個々の目標達成基準に基づいて行なわれるのに対し、部署長が責任者となって部署内の複数の管理者間で調整、決定する2次評価に用いる「相対評価基準」は、1次評価の基準から1段階上位の基準とする必要があります。
例えば、「部署目標達成に対する数量的・質的貢献度」、「経営理念に基づくプロセス業績」、「波及効果の大きさ」などをクライテリア(複数基準)とし、評価適用上の優先順位を決めておき、相対評価分布に当てはめて評価を決定します。
経営者・管理者の留意点
部署内調整では、管理者間でクライテリアの合意形成を行なうこと、会社として各部署のクライテリア設定の方向付け、義務付けを行なうとともに、部署間最終調整でも、同様にクライテリアを設定します。
それらは、2次評価以降、最終評価の公正性を確保することと、評価決定に基づくフィードバックにおいても納得性を高める根拠となり、あらかじめ、それらのクライテリアを社内に公開しておくのが適当です。
ちなみに、「相対評価」は評価にメリハリを付け、賞与の配分など処遇のインセンティブ効果を高める狙いをもっており、日本企業の実例で、賞与の評価に11段階の差を設けているケースもあります。
このように、処遇のメリハリをつけ、業績向上努力に対するインセンティブ効果を高めようとすれば、それに相応するクライテリアの精緻化が必要となります。
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