民主党の税制上の中小企業支援策としては次の3つの政策が掲げられています。
l 事業承継の重点的支援
l 法人税の軽減税率の引き下げ
l 一人オーナー会社の「役員給与の損金不算入」措置の廃止
事業承継支援税制で何をする
事業承継については、既に経営承継円滑化法が平成20年5月9日に成立しており、平成21年度の改正税法とあわせて、①民法の遺留分に関する特例、②円滑な承継のための金融支援制度、③相続税や贈与税の納税猶予制度が整備されました。
ただし、どれだけの利用事例が生まれるか疑問に思うほど使い勝手の悪いものです。事業承継時期に至っている多くの中小企業を重点的に支援することによって安定的な活動を支える、との民主党の姿勢におぼろな期待が生まれます。
軽減税率は黒字企業に即効性
所得金額年800万円以下の部分に対する軽減税率については、平成21年4月1日以後終了事業年度から18%に引き下げられていますが、これをさらに11%まで引き下げようというもので、黒字企業にとっては今まで以上に税負担が軽減され、ありがたい政策といえます。ただし、金融危機を発端とした経済の低迷により、売上げ不足に悩む多くの赤字企業(約70%)にとってはその恩恵に浴することができず、普遍性のやや薄い政策といえます。
役員給与損金不算入の廃止は即刻
一人オーナー会社の「役員給与の損金不算入」の廃止は当然です。この規定は平成17年末に財務省が自民党税調を丸め込んで導入させたもので、御用団体たる法人会からさえ公式に反対されたものです。
廃業数が創業数を上回り、事業者数が減少しているわが国においては、創業を奨励し、経済の活性化を図らねばならない状況下にあるにもかかわらず、この規定の創設は時代の危機感を置き去りにした、官僚たちと自民党税調のダメさ加減を浮き彫りにした遺物と言えましょう。
期待するもの
自立して起業し、リスクと直面しながら孤軍奮闘している中小企業に意地悪な制度が多々あります。先の役員給与の損金不算入もその一つでした。支援のみならず、そういうものを無くしてほしいものです。
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