〔1〕相続税の申告について(国税庁資料より)
平成20年中に亡くなった人に係る相続税の申告状況は次のとおりです。
(1)相続税の課税対象者
① 死亡者数 : 1,142,407人
② 上記のうち、納付すべき相続税額がある人 : 48,010人
③ 課税割合(②/①): 4.2%
平成20年分の課税割合は4.2%となりました。平成16年分から5年連続で4.2%となっています。これは、基礎控除額の引上げ等があった平成6年分以降における最低水準になっています。
現状における相続税は、100人亡くなって4.2人しか課税されないという、課税対象者が本当に少ない税金です。
今後、相続税の改正が予定されているようなので、改正により課税対象者が増えていくのではないのでしょうか?
(2)相続財産の構成比
① 土地 : 49.6%
② 現金・預貯金 : 21.5%
③ 有価証券 : 13.3%
④ 家屋 : 5.4%
⑤ その他 : 10.2%
財産額のうち土地・家屋の占める割合(55%)で半分を超えています。このことから、不動産の評価額が相続税額にいかに大きな影響を与えているかがわかります。
実務上では、財産額のうち不動産の占める割合が大きい方は、相続税の納税資金の捻出に苦しむケースが多いようです。ご生前のうちから、どのようにして相続税の納税に対応するのかを考えておくことが大切になります。
土地の評価額の基となる毎年の路線価の動きにも注目する必要があります。
〔2〕相続税の調査について(国税庁資料より)
平成20年7月から平成21年6月までの間に実施した相続税に係る調査状況は次のとおりです。
(1)調査件数
① 調査の件数 : 14,110件
② 申告漏れ等の非違があった件数 : 12,008件
③ 非違割合(②/①): 85.1%
非違割合が85.1%ですから、相続税の調査があったら、何らかしらの申告漏れ等が見つかると思っておいた方がよさそうです。
(2)申告漏れ相続財産の内訳
申告漏れ相続財産は、4,105億円。追徴税額は、931億円。
① 現金・預貯金 : 1,380億円(33.6%)
② 有価証券 : 776億円(18.9%)
③ 土地 : 675億円(16.4%)
相続税の調査により、申告漏れ相続財産を4,105億円も見つけ出して、税額として931億円を徴収したということですから、税務署の役割がいかに大きいかを改めて感じさせられます。
申告漏れの内訳については、金融資産(現金・預貯金と有価証券)が52.5%と大きな割合を占めています。
実際の調査の際も、ご生前における金融資産の動きが一番注目されます。
税務調査では、金融資産の実質の所有者が誰なのかが問われます。
相続税の税務調査の際に指摘を受けないように、ご生前から、金融資産の動きについてはクリアーにしておくことが大切になります。
問い合わせ先:0120-944-733
事業財産承継部 樋口
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