前節で見たイノベーションの機会を見逃さぬよう、組織に適切な仕組みを組み込まなければなりません。「体系的廃棄」と呼ぶ仕組みです。これを組織に組み込むことがイノベーション戦略の基本になります。
計画的・体系的に廃棄する
イノベーションを具体化するには、「既存のものは古くさくなっている」という仮定のもとに「新しく、違ったもの」を創造していかなければなりません。
そのためには、古くなったものを計画的かつ体系的に廃棄するシステムを組織の中に取り込むことが不可欠になります。体系的廃棄では、具体的には次のような手順をとります。
①現在あるものの改善(カイゼン活動)
②成功しているものについての応用法を考案(開発活動)
③古くなったものを捨て「新しく、違ったもの」を考案(イノベーション活動)
新しいものを考えるために
③のイノベーション活動では、有効でなくなった製品、サービス、プロセス、市場、流通チャネルを体系的に検討します。そして、「いまこれがないと仮定した上で、それでもこれを始めるのか」を問うのです。答が否ならば、その製品やサービス、プロセスは即刻取りやめて、「新しく、違ったもの」を考えるのです。
イノベーション的な企業を目指すために、こうした体系的廃棄の仕組みを組織に根付かせるのも、トップ・マネジメントの責務です。
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