トップ・マネジメントは、組織の将来を占う上で極めて重要な意思決定を下さなければなりません。そうしたトップ・マネジメントの意思決定のいくつかについて検討したいと思います。
大きいことはいいことなのか
ドラッカーは、トップ・マネジメントの意思決定の中で、あまり考慮されていないものの1つとして、企業の適正規模に関する意思決定を挙げています。
「規模が異なれば、構造も、方針も、戦略も、はたまた行動も異なるし、事業によって、その適正規模や不適正規模も異なる」、これが組織の規模に関する基本的な考え方です。
ドラッカーは、何事にも適正な規模があり、大きければ大きいほど良いという考えには警告を発しています。
不適切な規模を是正する
不適切な規模を知る最も簡単な方法は、バランスを欠いた分野を見付けることです。これは、異常に発達した分野や活動、機能、努力などを指します。多くの資源と労力を費やしたにもかかわらず、成果を上げられないでいる分野があれば、それはすなわち、規模の適正さを欠いていることにはかなりません。
是正方法としては、
①事業を再定義してバランスを欠いた分野が適切に稼働する場所を探す
②吸収合併または買収で規模の問題を解消する
③売却または切り捨てるなどの意思決定が必要になります。
生き物と適正規模
生き物の世界は適正規模の重要性を表しています。「昆虫はある程度大きくなると、外皮では身体を支えられず、骨格が必要になる」「象も今以上に大きくなれば、その体重を支えるためにさらに大きくなった足を持ち上げられなくなる」などがそれです。もっとも、小さすぎても駄目で、小さくもなく大きくもなく、つまり適正規模を追求することが重要になるのです。
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