多角化もトップ・マネジメントが行うべき重要な意思決定の1つです。しかし、多角化は万能薬ではありません。また、多角化には成功のためのポイントがあることを知るべきです。
多角化を成功に導くには
組織は本来、明快で単純なものであるべきです。しかし、組織の多角化は、組織の基本設計仕様に反する動きでもあります。
多角化を誘引する要因は、内的要因(①欲求、②規模の適切さ、③コストセンターの収益化)と外的要因(①一国の市場規模、②市場の論理、③技術、④税制、⑤新市場)が考えられます。冒険を冒して多角化を成功させるには、多様性の中に統一の中心となるものを見出さなければなりません。そのためには2つの方法しかありません。
第1に、共通の「市場」のもとに事業や技術、製品を統合する方向です。これは、同一市場に、多角化した異なる事業や技術を投入することを指します。
第2は、共通の「技術」のもとに事業や市場、製品を統合する方向です。こちらは、技術を統一のキーとして、同一の技術で複数の市場を相手にすることを指します。
要するに、共通の市場と共通の技術が、多様性の中に統一を生み出すと、ドラッカーは指摘するわけです。そして、いずれかをテコにして、統一性を生み出すことが、多角化のポイントになるというわけです。
ちなみに、同一市場を対象にした多角化の方が上手くいくケースが多いといわれています。
多角化が失敗に終わるケース
上であげた2つの方法を同時に実行しようとする多角化は、失敗する可能性が高いといわれます。また、相補うという考えから多角化を実行することも、左記2つの方法を考慮に入れていない場合は失敗するでしょう。
さらに、資金需要の大きな事業と資金余裕のある事業を組み合わせたり、多角化のための多角化や、既存事業の弱さを補う多角化も失敗に陥りやすいものです。
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