分権組織(連邦制分権組織)は、分権化した事業体から編成される組織のことです。職能別組織は規模が大きくなると、どうしても機能不全に陥ります。この問題を解消するのが分権組織です。
分権組織の特徴
分権組織(連邦制分権組織)は、分権化した自立的な事業体から編成されます。事業部制や社内企業制も分権組織の一形態です。
一般的な分権組織では、事業体内部に職能別組織を持ちます。そして、個々にマネジメント機能を所有し、自立的に事業体を運営します。もちろん、チーム型組織を補完的に活用する場合もあります。
分権組織のメリットと配慮すべき点
分権組織では、事業体が自主的に運営されるので、メンバーは、事業体の目標と自分自身の目標を把握しやすくなります。コミュニケーションや意思決定も円滑に進みます。
分権組織の立場からすると、トップ・マネジメントの仕事を自立した事業体と見ることも可能です。これにより、トップ・マネジメントは、特有の課題に専念できるようになります。また、やがてトップ・マネジメントに就く管理者の養成が容易であるというのも、この組織形態の大きな特徴です。
ただし、分権化によって本社機能(トップ・マネジメント)が弱体化するようなことがあってはなりません。この点は要注意です。
本社トップ・マネジメント
↓
A事業 B事業 C事業 D事業
各事業が個々のマネジメントにより自立して運営される
メリット
・職能別組織の機能不全を回避
・事業体の目標、自身の目標を把握しやすい
・トップ・マネジメントは、特有の仕事に専念できる
・将来のトップ・マネジメントの育成が容易
留意点
・事業の規模に配慮
・本社トップ・マネジメントが弱体化しないよう要注意
事業として組織できるものは分権制に勝るものなし!が分権組織の考え方です。
『企業とは何か』と分権組織
ピーター・F・ドラッカーは第二次世界大戦中に、自動車メーカーGMを内部から観察して現代企業のあり方をとりまとめた大著『企業とは何か』を発表し、この本の中で「分権組織」を初めて提唱しました。その後、この分権組織は一大ブームとなり、フォードやGEの他、日本の大企業でも採り入れられるようになったのです。
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