職能別組織は、古くから存在する伝統的な組織形態です。この組織形態では、仕事を技能別、段階別に分類し組織化します。組織内における自分のポジションが一目でわかる明快さが最大の特徴です。
仕事を組織する3通りの方法
仕事は、知識労働か肉体労働かを問わず、3通りの方法で組織できるとわれます。
① 仕事を過程内の各段階で組織する。
② 過程内の必要な技能や道具の間を移動するように組織する。
③ 異なる技能と道具を持つ労働者を1つのチームとして組織する。
職能別組織とは、上記の①と②を組み合わせたものです。すなわち、仕事を技能および段階別に分類し、それを組織化したものが職能別組織です。
職能別組織の特徴
職能別組織には、自らが組織のどのポジションに位置するか、一目で理解できるという明快さがあります。また、高い安定性も大きな特徴の1つです。
しかし、組織全体の目標が見えにくく、そのため組織の目標と自分の目標を関連付けにくくなるというデメリットもあります。
職能別組織は、単一の製品を製造し工程も複雑ではない、単純な形態の企業では、大変効果的な組織形態です。
一方で、複雑な作業が不可欠な組織では、職能別組織の限界はすぐに明らかになります。
職能別組織とはいわゆる縦割り組織で仕事を技能別、段階別に分類して組織化します。
メリット
・明快さ
・自身のポジションが一目で分かる
・高い安定性
デメリット
・組織全体の目標が見えにくい
・個人の目標との関係がわかりにくい
・組織全体よりも部門優先になる
アンリ・フエヨールによる職能別組織
職能別組織は、フランスのアンリ・フェヨール(1841~1925年)によって初めて定義されました。フェヨールは鉱山技師として鉱業会社に入社し、47歳の若さで同社の社長に就くと、様々な管理手法を導入して会社を立て直しました。その1つが職能別組織だった
のです。
しかし生まれたのは19世紀のこと、先にも述べたように、職能別組織は複雑な作業が不向きなのです。少品種大量生産が主体の高度成長期では活躍する組織形態ですが、今では時代遅れといわれても仕方がないでしょう。
「他部門に口を出さない」、「上司の顔を潰さない」、「自分の部署の仕事を一所懸命にやれ」では変化のない時代には問題ないが、変化の時代に顧客起点の経営に支障がでるのは時間の問題でしょう。
現代のように変化が多く、多品種少量生産型の社会であれば、プロダクト別組織がもっとも効果的です。
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