ここ数ヶ月、大手製造業が募集した希望退職に何千人が応募したというような
記事が、新聞紙上を賑わしています。希望退職とは、企業が業績の悪化による人
員削減や、経営統合による余剰人員の発生時などに時限的に早期退職をする従業
員を人数限定で募ることを言います。一般的に、割り増しされた退職金などの条
件提示を行い募集することになります。定年前に退職する従業員に対して割り増
しされた退職金を支払うという意味では「早期退職優遇制度」と同じですが、
「早期退職優遇制度」は、年代間での人員バランスをとることなどを目的として
継続的かつ人員数の制限なしで行われます。
会社の業績が悪化した場合、整理解雇を検討することになりますが、整理解雇
を合法的に行う場合には、
①業務上の必要性
②解雇回避努力
③選定基準の合理性
④従業員に対する説明・協議
といういわゆる「整理解雇の4要件」を満たす必要がありますが、この希望退職
の募集は、②の解雇回避努力の要素として重要な意味を持ちます。整理解雇を行
う上では、必ず行うべき一つのステップと言えます。
大企業の経営の悪化は、中小企業へのさまざまな影響を及ぼすことになること
は必至です。希望退職などリストラについても争い事にならないよう正しい進め
方をしなければなりません。
名ばかり副理事長
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