「問題を起こした社員を懲戒解雇する場合に、退職金の不支給ないし減額はどこまでできるの?」
という質問をいただきました。
退職金は、就業規則等に支給条件が明確に約束されている場合には、後払い賃金としての性格を有することになります。一方で、懲戒解雇に処せられた場合に、退職金の減額や不支給とする取扱い就業規則を定めることも一般的に行なわれており、退職金の賃金後払い的性格との間に問題が生じることになります。
判例では、懲戒解雇に相当するような在職中の背信行為を不支給条項として定めている場合、懲戒解雇が有効なときは退職金請求権を否定する裁判例も少なくありません。しかし、一部では、退職金を不支給とする規定があっても、実際にはこれを限定的に解釈し、「永年の勤続の功労を抹消させてしまうほどの背信行為がない限り、退職金の不支給は許されない」として、退職金の支払いを認めたものもあります。
したがって、実際には次の2つの点に留意して判断することが必要といえますね。
(1)懲戒解雇の場合、退職金不支給措置も認められるが、その場合でも、労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な不信行為があることが必要。
(2)懲戒解雇の場合であっても、不信行為の程度に照らして、退職金の一定割合について、支払いが認める必要があることがある。
名ばかり副理事長
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