先日、私の担当するクライアントの専務から次のような相談を受けました。
「総務の課長が別の部署の社員と不倫をしているのでクビにすることはできないか」
私はそれは困難であることをお伝えしました。不倫そのものは双方合意によるものであること、さらには、不倫そのものは直接業務に関係のないものだからです。
しかし、不倫行為が公然と行われ、社内の風紀秩序を乱すようであれば、服務規律違反として懲戒処分の対象にすることは可能です。
今回のケースでは、社内の良好な職場環境・秩序を率先して醸成し、維持するべき立場にある部署の社員の行為でありましたので、ある程度公然と行われているかどうか精査したうえで、懲戒処分による対応も可能を視野に、対応について協議することになりました。
当然、服務規律違反として懲戒処分の対象とするには、就業規則にその根拠を示さなければなりません。
私は過去に、クライアントの強い要望で服務規律に次のような文章を規定したことがあります。
『社内恋愛や社内不倫により社内の風紀秩序を乱し、業務に支障をきたしていると会社が判断したとき』
このように服務規律に社内恋愛や社内不倫について規定することは可能ですが、社内恋愛や不倫そのものは、前述のように双方の合意によるものであること、および私生活上の行為であるため、行為そのものを禁止することは、よほどの合理性が見出せないと困難ですし、また、これらの行為による風紀秩序を乱すことの禁止についてもあまりにもダイレクトな表現ですと、逆に社内の風紀がギクシャクしかねませんので、
『業務に関係のない行為で、他の社員の業務を妨げ、職場風紀秩序を乱さないこと』
というような、やや遠まわしな表現でも対応可能ではないかと考えます。実際にこのような表記で対応させていただいてるケースが多いと感じます。
社内恋愛や社内不倫は、私生活上の行為ということで、どうしても慎重にならざるを得ません。実際に社内恋愛や社内不倫がもたらす職場の風紀への影響の判断も大変難しいものがあります。
セクハラの場合は、双方合意で行われているものではありませんし、また、法的な保護がある程度明確にあるので、むしろセクハラのほうが対応はしやすいかもしれません。社内不倫などはセクハラ以上に慎重に対応する必要がありますので、ご注意ください。
こども部長
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