4月も早くも下旬に差し掛かり、ゴールデンウィークが待ち遠しいオカワリ君です。
さて、4月という節目の時期に、私のクライアントで、
契約社員を正社員として登用したケースがありました。
そのクライアントから、
「正社員に登用した彼(Aさん)の件だけど、試用期間ってどうすればいいの?」
と言うご相談を受けました。
Aさんは3年前に契約社員としてクライアントの会社に入社し、
今年の春から正社員になりました。
Aさんは契約社員時代から営業の仕事をしており、
成績が優秀なので正社員へと登用したという経緯です。
こういった状況を踏まえて、クライアントには
「試用期間は設けないほうがよいでしょう」と
アドバイスを差し上げました。
試用期間は、法律上必ず設けなければならないものではありませんが、
多くの企業が就業規則等で、一定の期間を試用期間とする旨の規定を設けています。
また、試用期間の設定については、会社に広く裁量が認められています。
しかし、試用期間について以下のような判例があります。
「雇用が継続中に試用期間を設けることは、
試用という文言それ自体の趣旨から原則として許されないものと解すべきである。
このことは、労働者の合意があっても同様である」
(ヒノヤタクシー事件 盛岡地裁 平元. 8.16判決)
この判決では、業務内容が異なる場合については、
「タクシー運転手として雇用されていたものが一般の事務職となり、
あるいはその逆の場合のように新たに雇用したと同視できるような例外的な場合に限り、
雇用途中の試用期間の設定が許される」として
限定的に試用期間を設けることを認めています。
今回の相談のケースでは、
平たく言うとただ単に身分が契約社員から正社員になっただけですので、
上記の判例から考えて、試用期間を設定することは避けたほうが無難と
判断しました。
また、契約社員時代にも試用期間があったのに、
正社員になったと思ったらまた試用期間というのでは、
モチベーションにも影響があるでしょう。
ちなみに試用期間の長さは、上述したとおり、
会社に広く裁量がみとめられておりますが、
1年を超える期間を設定すると、無効とされるおそれがあります。
実務感覚としては、3ヵ月から6ヶ月程度が多いように思えます。
オカワリ君
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