先日ドイツの経済団体が就業中のたばこ休憩の廃止を提案したということを書きましたが、今回はその続きとして、タバコを吸っている時間も労働時間としなければならないのかと言うことについて、お話しいたします。
タバコ休憩については、我々のお客さんからも、「あいつはタバコばっかり吸って、その分残業しやがる。残業代なんか払いたくない!」といった相談を受けることがあります。
このお客さんの会社では、分煙化が進み、タバコを吸う為に喫煙所に行く時間を含めると、1本タバコを吸う為に15分位かかるそうです。
果たしてタバコ休憩の時間は労働時間として、残業代を支払わなければならないのでしょうか?
ここで労災関係ではありますが、タバコと労働時間について以下の様な判例がありました。
長時間労働が原因で心筋梗塞を発症したとして、その労働時間の長さを考えるにあたって、タバコ休憩を含めるのかどうかと言うものです。
1審は、男性が1日20~40本喫煙していたことなどから、休憩が毎日1時間あったと推認し、発症直前1カ月間の時間外労働を月78時間と認定し、脳・心臓疾患の労災認定基準である100時間を下回るとしました。
これに対し2審は、飲食店という業種柄、従業員が一斉に休憩できないうえ、調理や接客など全般を任せられる要員も少なかったと指摘した上で、1審で休憩とされた喫煙は、店舗内の更衣室兼倉庫でしており忙しければすぐ対応せねばならなかったことから、労働に含まれる「手待ち(待機)時間」とみなし、休憩は1日に15分だったとし、時間外労働は月100時間だったと認定しました。
ここで注目すべきは、「飲食店という業種柄、従業員が一斉に休憩できないうえ、調理や接客など全般を任せられる要員も少なかった」と言う点と「喫煙は店舗内の更衣室兼倉庫でしており忙しければすぐ対応せねばならなかった」といった点でしょう。
労基法の考え方では、「休憩」とは簡単に言うと、完全に使用者から解放されて、従業員が自由に使える時間を言います。そのため上記の所謂手待ち時間は休憩には当たらないため、労働時間になるということです。つまり、手待ち時間といわれてしまうようなタバコ休憩であれば、残業代を支払わなければならないということです。
ただ、上記の判例のケースと、冒頭のお客さんの相談の様に一般のサラリーマンが職場から離れた喫煙所に行ってする喫煙の場合とでは、手待ち時間かどうかという観点から意味合いが異なるように思えます。
完全に自由な時間として休憩を与えていると言う前提に立てば、方法論として、就業規則に「タバコを吸った時間は休憩したものとする」と記載することで、残業時間を支払わないことも可能だと考えます。(ただその分、タバコ休憩をしっかりと管理しなければならないでしょう)
いずれにせよ、喫煙時間をどう取り扱うかを会社と労働者で協議して決めることで解決を図ることが望ましいでしょう。
オカワリ君
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