昨日はひどい雪で、帰りの道では革靴が滑って大変でした。
それよりも、先週末から天気が悪くて洗濯物が干せず、
着るものがなくなってきてしまいました・・・
さて、唐突ですが、皆さんは職業選択の自由ということをご存知でしょうか?
普段、なかなか気にすることはないかと思います。
日本の憲法では
「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転、及び職業選択の自由を有する。」
とあります。
極簡単にいうと、人は就きたい仕事を選ぶことができると言うことですね。
しかし、労務上ではこの職業選択の自由が、障害となることがあります。
従業員の退職にあたって、ノウハウの流失を防止する等の目的で、
「退職後は2年間は競業他社に就業することを禁止する」
などの誓約書を書いてもらうことがあります。
果たして、こういった内容の契約は、
職業選択の自由の観点から有効と言えるのでしょうか?
先日、東京地裁で
競業他社への転職と職業選択の自由に関して判決がありました。
この裁判は、
同業他社へ転職した場合は退職金を支払わない
という誓約書の有効性を問う内容でした。
裁判所は、この誓約書の内容を
「職業選択の自由を不当に害し、公序良俗に反して無効」
との判断を示しました。
判決では、この元従業員は在職中に機密情報に触れる立場になく、
転職後は異なる業務に携わっていたとして、
「会社に実害が生じたとは認められない」と指摘し、
「転職先が同じ業務を行っているというだけで
転職自体を禁じるのは制限として広すぎる。
禁止期間も相当ではない」としました。
この判決から、
競業他社への転職禁止の誓約書の内容の有効性は、
以下の点を考慮する必要がありそうです。
・転職後の元従業員の行為によって、会社が実害を受けている
・元従業員が従事していた業務内容
・転職後の業務内容
・転職を制限する期間
その他にも、過去の判例で判断基準となっているものとして
・転職禁止の地域を限定している
・何らかの代償的な措置を講じている
・誓約書、就業規則等に競業避止について定めがある
などがあります。
転職は、職業選択の自由という強い保護がかかっているため、
誓約書があるからといってすぐに
その内容が有効となるわけではなく、
誓約書の内容も問われるということですね。
機密情報を漏洩させたケースや顧客を引き抜いた場合などでは、
会社側の主張が認められた判決もありますが、
会社が実際に損害を被った場合などに限られるようです。
いずれにせよ、企業防衛の観点から、
最低でも退職時の競業避止に関する誓約書は結んでおかなければ、
会社としての最低限の主張をすることができませんので、
必ず誓約書は結んでおきましょう。
オカワリ君
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