「公契約条例」…皆さんはこの言葉をご存知でしょうか?
「公契約条例」とは、「公共事業の現場で働く全ての労働者を対象として賃金の最低基準額を条例により保証する」とい
う考え方です。
賃金の最低保証という意味では、「最低賃金法」という法律がありますが、この「公契約条例」は、最低賃金法で定める
最低賃金を大きく上回る金額が設定されています。
近年、官から民へ、民でできることは民へという流れの中で、一般競争入札が拡大し、総合評価方式の採用が進めら
れてきましたが、一方で低価格入札問題が表面化し、一般競争入札による価格競争を入札企業は人件費の圧縮に転
嫁し、労働者の賃金等労働条件を低下させる方法によって落札する傾向がでてきました。
地方自治体が発注する仕事でありながら、こうした仕事で働く労働者の生活水準が低下していく…このような事態を防
止すべく、2010年、全国に先駆けて千葉県野田市で公共工事や業務委託を受注する企業に対し、一定水準以上の賃
金の支払を義務付ける「公契約条例」が施行されました。
野田市に続いて、政令指定都市として初めて川崎市でも条例が導入され、この他、札幌市、国分寺市、横浜市、相模
原市など、全国各地で条例制定の動きが広まっています。
野田市の条例では、入札参加企業の労働者だけでなく、その下請負者、請負労働者にも条例が適用され、条例の履
行にあたっては、受注契約締結後、中間期、完了検査時の計3回、報告書とともに賃金台帳、給与明細、就業規則の
添付により、最低基準額以上の賃金が支払われているかどうかの確認が行われます。
条例の適用は、建設工事だけでなく、公的施設の運営、窓口案内・受付、情報処理・情報システムメンテナンス、ごみ
収集・処理、庁舎等の清掃・警備、水道の検針、林野の維持、給食調理、バスの運行等あらゆる分野に広がっていま
す。
条例に反すれば公共事業の契約解除、違約金等のペナルティーも定められており、下請け等の協力企業も含めた「継
続的な履行体制の構築」が受注の最低条件となっています。
企業がこうした履行体制を構築していくためには、受注構造の見直しや労働条件整備は必須です。
公契約条例に対応した労働条件整備には、表面的な規則の修正だけでなく、賃金や労働時間の実情に合わせた労働
条件整備、コンサルティングが必要不可欠であると考えます。
今後は、公契約条例の制定拡大とともに、建設業をはじめとした、地方自治体から仕事を請け負う企業からの労働条件
整備の依頼が増えていくと予想しています。
また、元請企業だけでなく、下請け企業などの協力企業にも適用されるため、協力企業の労働条件整備も必須であり、
グループ全体で取り組まなければ、今後大きな企業リスクに発展する可能性があると考えます。
私たちTOMAグループとしても、こうした公契約条例に対応した『労働条件審査サービス』を始めていますので、公契約
条例への対応でお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。
帰り際の魔術師
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