先日からお話しています、私の担当しているクライアントでの匿名電話のお話ですが、
今日は、このお話が、我々では予測し得ない、意外な結末を迎えたことをお話ししよう
と思います。
2度の匿名電話を受け、担当クライアントの総務部長は、慎重に本人に確認をとり、セク
ハラの事実がないことを確認しました。
セクハラの事実がないことを確認し、匿名電話もイタズラと断定し、事態は収束に向かっ
たかのようでしたが、しばらくしたある日、総務部長から再び相談を受けることになりま
した。
「例の匿名電話のセクハラの件で、被害者とされる○○さんから、電話がかかってきたんです」
「彼女にヒアリングした際、彼女からセクハラの事実がないことを確認したはずでは…」
と不思議に思ったのですが、総務部長の話を聞くと、
彼女との事実確認の面談は、理由をカモフラージュして、場所も工場外で極秘に行われたに
も関わらず、別のラインで働くAさん(男性・契約社員)から、この間、総務部長が工場に
来たことを話題にされたそうです。彼女は知らないと聞き流したそうですが、先日、工場に
総務部長が来たことは知られていないにも関わらず、また、普段会話をすることも少ないA
さんから話しかけられたことを不審に思い、総務部長へ連絡をしてくれたのだそうです。
Aさんはなぜこのことを知っているのか、匿名電話の犯人はAさんなのか、そして、Aさん
が犯人であるとするならば、なぜ、Aさんはこのような匿名電話を掛けたのか、なぞは深ま
るばかりです。
そこで、総務部長は再び工場へ訪問し、さりげなくAさんに聞いてみることにしました。
「この間、Aさん、俺を見かけてくれたんだって?見かけてくれたなら、声をかけてくれた
らよかったのに」
Aさんは少し動揺した様子で、総務部長かどうかはっきりとわからなかったからと言葉を濁
したそうです。
その日の夜、総務部長はAさんを呼び出し、思い切って核心を突いてみることにしました。
・就業時間中であるにも関わらず工場外にいる総務部長をなぜ見かけたのか
・このことをなぜ、彼女に話しかけたのか
そして、セクハラの匿名電話の件についても心当たりがないか聞いてみることにしました。
結局、Aさんは言葉に詰まり白状したそうです。
理由は、Aさんが一方的に○○さんに好意を持ち、××課長と○○さんが同じラインで仕事を
することに嫉妬し、××課長を貶めようと匿名のセクハラ電話をかけたそうです。
そして、セクハラを理由に××課長を○○さんのラインから引き離したかったそうです。
○○さんに話かけたのは、匿名電話後の会社の対応状況を確認したくて、探りを入れたかったのだそうです。
すべて極秘に確認作業を重ねたため、大きな波紋も広がらず、また、○○さんに対する直接的
な被害も出ませんでしたが、イタズラの匿名電話で企業秩序を乱したことに変わりはなかった
ので、譴責処分とし、○○さんを配置転換のうえAさんと引き離し、その年の年度末をもって
契約期間満了で雇い止めをしました。
この件では、セクハラのようなデリケートな事象は、周囲への影響も考慮して、慎重に慎重に
対応しなければならないことを改めて感じ、また、経験則や推測だけで物事を判断したり、結
論付けようとすることはよくない、きちんと根拠を持ってアドバイスをしなければならないと
反省をしたのでした。
また、このお話のようにセクハラではなく、一歩間違えれば社内ストーカーに発展しそうなケ
ースも珍しくなくなってきていますので、このようなケースも想定されるということを、企業
の人事担当者の皆様は認識を新たにしていただければと思います。
ミラバケッソ・ワタナベ
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