Q.有給休暇を請求してきた社員に対し、人手が足りない日なので有給
休暇を取ってほしくないのですが、注意すべき点はありますか。
A.社員が一定の時季に有給休暇を請求した場合、会社は事業の正常な
運営を妨げる場合でなければ有給休暇をその時季に与えなければなりま
せん。これを「時季指定権」といいます。一方、社員の指定した時季に
有給休暇を与えることが会社の事業の正常な運営を妨げる場合は、有給
休暇の取得の時期を変更することができます。これを「時季変更権」と
いいます。その場合の判断ですが、
(1)事業規模と内容
(2)業務の性質・内容
(3)業務の繁閑
(4)代替者の配置
などを総合的に考えた上で判断します。
例えば、有給休暇を取得する日に行う予定の業務内容が、月末の経理
処理など専門的知識を必要とするため、有給休暇を取得する社員にしか
できない業務であり、部門の人数も少なく、代替要員の確保もできない
状況にある場合は、事業の正常な運営を妨げる場合にあたると考えられ
ます。
つまり、会社は社員の代わりの人員を確保する努力をしないまま、
単なる「忙しい」という理由だけでは、上記の「事業の正常な運営
を妨げる場合」には該当せず、時季変更権は 行使できませんので注意
が必要です。また、恒常的な人員不足を理由として代替要員確保の努力
をしない場合も同様です。
したがって、時季変更権を行使をする上で、会社は社員に対して有給
休暇を与える配慮をし、社員の増員に努力をしていることが前提で
あり、ポイントとなります。
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