前回に引き続き裁判員制度について取り上げたいと思います。
来年5月からの裁判員制度スタートに向けて、いよいよ裁判員候補
が決定し、候補者への通知が始まりましたが、まだ従業員が裁判員
に選ばれた際の対応について検討していない会社も多いと思います。
そこで、これから対応を検討する際のポイントをご説明します。
①従業員が裁判員に選ばれたら、休暇を与えなければいけないのか?
⇒裁判員の仕事に必要な休暇を取ることは、労働基準法7条により、
公の職務を執行するものと扱わなければならないので、休暇を認め
なければなりません。
また、裁判員として仕事を休んだことを理由に、解雇などの不利益な
扱いをすることも禁止されています(裁判員法100条)。
②休暇中は有給にしなければならないのか?
⇒必ずしも有給にする必要はありません。
前回ご紹介した調査でも分かるように、大企業では特別有給休暇制度を
導入するところも多いようですが、中小企業では会社の実情に合わせて
無給とすることも検討して下さい。
対象となる裁判の審理日数は、約7割の事件が3日以内で終わると予想
されていますので、従業員には個別の同意を必ず得なければいけませ
んが、既存の年次有給休暇の取得を勧めてみてはいかがでしょうか。
なお、裁判員や裁判員候補に選ばれると、審理の時間などに応じて1日
当たり8千円以内~1万円以内の日当が支給されます。
③人員に余裕がないので、辞退は認められないのか?
⇒裁判員に選ばれたら原則として辞退は認められません。
ただし、「重い病気や怪我」などのやむを得ない理由により辞退が認め
られる場合もあります。
業務を理由とする場合は、その人が選ばれることにより①事業に著しい
損害が発生したり②代わりとなれる人がいない場合に、個別に判断され
るようです。最高裁は、辞退を認める個別の事例集を作り、各地裁宛に
送っているようですが、例えば次のようなケースがあります。
・接待の必要性のある営業職
・卒業、入学シーズンの美容師
・初詣でや海水浴場などに近い店舗の書き入れ時のコンビニ従業員
といったものから
・飲食店のナンバー1ホステス
という例も挙げられています。(店の売上に大きな損害を与えるから)
ただし、あくまで個別の事情で判断されるので、これらのケースに当て
はまっても、ただちに辞退が認められるわけではありません。
まだ対応を決めていない会社でも、このようなポイントや、他企業の動向
なども踏まえて検討をして下さい。
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