健康保険制度改正情報です。1月から出産育児一時金の支給額が変わります。これまでは出産時に35万円が一時金として支給されていましたが、平成21年1月より、産科医療補償制度に加入する医療機関で出産した場合は38万円となります。
産科医療補償制度に加入している医療機関については「産科医療補償制度」のHPで確認できます。
本年も顧問先様にはお世話になりありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
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健康保険制度改正情報です。1月から出産育児一時金の支給額が変わります。これまでは出産時に35万円が一時金として支給されていましたが、平成21年1月より、産科医療補償制度に加入する医療機関で出産した場合は38万円となります。
産科医療補償制度に加入している医療機関については「産科医療補償制度」のHPで確認できます。
本年も顧問先様にはお世話になりありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨今の不況を受け、製造業を中心に、日本を代表するような大手
メーカーでも、大規模な人員削減策を発表していますが、今のとこ
ろほとんどが派遣従業員や期間従業員といった非正規雇用労働者が
対象になっています。
特に派遣従業員の削減については「派遣切り」と呼ばれ、派遣契約
期間中の中途解除や、契約期間満了による雇い止めによって生産ライ
ンにおける過剰人員の調整が行なわれています。
今回はこのような「派遣切り」に関する法律上のポイントをご説明
したいと思います。
◇◆労働者派遣とは◇◆
◎派遣元
(分かりやすくするため、以下「派遣会社」とします)
◎派遣先
(同様に、以下「派遣先企業」とします)
労働者派遣では、派遣従業員を直接雇用するのは派遣会社である
のに、仕事に関する指揮命令をするのは派遣先企業という関係に
なっているところが特徴です。従って、派遣従業員に関する直接の
雇用義務を負っているのは派遣会社であって、派遣先企業・派遣
会社間の「労働者派遣契約」はあくまで企業取引上の契約となり
ます。企業取引上の契約ということは、企業間の取り決め次第では、
契約の中途解除もあり得るということです。
ただし、労働者派遣契約は一般取引上の契約とは異なり、従業員
の生活に直結するものなので、厚生労働省の指針として、労働者
派遣契約の中途解除に関して、次のような派遣先企業の責任が規定
されています。
①派遣会社の合意を得るとともに、予め相当の猶予をもって申し
入れること
②派遣先の関連会社での就業をあっせんする等、派遣労働者の
新たな就業機会を確保すること
③②ができないときは、遅くとも30日前までに予告し、予告しない
場合は、派遣会社に派遣従業員の賃金相当分の損害賠償を行
なうこと
このような指針に派遣先企業が違反しても直接の罰則はありませ
んが、昨今の報道でも話題になっているように、派遣従業員との
大きなトラブルに発展することは十分考えられますので、どうして
も派遣従業員の人員整理が避けられない事態となった場合には、
派遣会社と十分な協議を行なったうえで、ここでご説明した指針
などに則った適切な手続きをとることが重要といえます。
人事労務指導部の年末調整作業も佳境に入ってきました。今年も多くのお客様から申告書をお預かりしました。ありがとうございます。
従業員さんが記入している保険料控除申告書をチェックしていて気づいたのですが、地震保険料控除の申告の記載が誤っているケースが多いです。
地震保険料控除証明書の中には一つの保険契約で「旧長期損害保険料控除としての申告」と「地震保険料控除としての申告」と2通りの申告内容が記載されているものがあります。たいていは「どちらか」しか申告できないのですが、「どちらも」申告されている方が結構いらっしゃいます。年末調整作業の際にはそんなところも忘れずにチェックする必要があります。詳しくは保険控除証明書の欄外の記載を確認して下さい。
リーマンショックなどの金融不安による景気悪化を受け、最近
新卒学生の採用内定取り消しが相次いでいると報道されています。
厚労省が現在確認しているだけでも、大学生で302人、高校生で29人
に上るそうです。今後は特に悪質なケースについて、企業名を公表
する措置も取ることになっています。
ところで、新卒学生の採用内定とはどのような性格のものなので
しょうか。
採用内定は通常、内定取消事由などを記載した「内定通知」を学生
に送り、学生が誓約書を提出することで成立しますが、過去の判例
からは「始期付解約権留保付の労働契約が成立している」と解されて
います。難しい言葉ですが、要は、「卒業後」を労働契約のスタート
として、それまでに内定者に何らかの内定取消事由に該当する
ことが生じたら解約できる(解約権留保)ということです。ただし、
内定取消事由は通常の解雇と同様に「客観的に合理的で社会
通念上相当と認められるもの」に限定されています。
また、採用内定通知などに記載されていない理由が学生側に生じた
場合でも、内定を取り消すことができる場合がありますが、こちらも
「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないよう
な事実であって、客観的に合理的な理由」に限られます。具体的には
これまで次のような事例が認められています。
①卒業予定だった高校や大学を卒業できなかったとき
卒業を前提に採用しているので、原則として取り消しが認められる
でしょう。
②提出書類に虚偽の記載を行なっていたとき
履歴書やエントリーシートなどに重大な虚偽があった場合には、
取り消しが認めれる可能性があります。
③健康状態の悪化
採用内定後に、入社後の勤務に耐えられないほど深刻に健康状態が
悪化した場合は、取り消しが認められる可能性があります。
④非違行為の判明
採用内定後に、重大な犯罪行為を行なった場合には、取り消すこと
が認められる可能性が高いと思われます。
このように、採用内定の取り消しが認められるケースはありますが、
基本的には通常の解雇を行なうのとそれほど変らないくらい厳しい
ハードルを課せられていることがお分かりいただけると思います。
さて、ここまでは学生側の事情による採用内定の取り消しについて、
ご説明してきましたが、今回の金融危機で相次いでいる、経営悪化を
理由としたような会社都合による採用内定の取り消しは、どのように
考えられているでしょうか?
もうお分かりになるとは思いますが、会社都合の場合であっても、
通常の解雇を行なうのと同じくらい厳しいハードルがあります。
具体的には整理解雇のときに用いられる次の4つの要件を、採用内定
に当てはめて考えることが必要です。
①内定取り消しの必要性
経営状態の悪化と内定取り消しの関連が問われます。
②回避のための努力
内定取り消しを避けるために、経営努力を尽くしたかどうかが
問われます。
③内定取り消しの基準と人選の合理性
既存の従業員も含めた人選の合理性が問われます。単に内定者を
雇用の調整弁的に取り消したのでは合理性が否定される可能性が
あります。
④手続の妥当性
どうしても内定を取り消さなければいけない場合は、内定者に
対して誠実かつ十分に説明しなければなりません。
このように、新卒学生の採用内定取り消しは、法律的に非常に
難しいことですし、学生のその後の人生にも大きな影響を及ぼして
しまいます。また、当該企業の内定決定後、他の企業の内定を断った
り就職活動の継続が困難になった場合には補償問題にも発展します。
従って、採用内定の取り消しを考える際には、今回ご紹介したこと
などを考慮して、慎重に判断して下さい。
以前このブログでお伝えしておりましたが、長時間・過重労働の
防止を目的に、現在一律で25%以上と定められている時間外労働
の割増賃金率を、月に60時間を超える部分について50%
以上に引き上げることを定めた改正労働基準法が、今月5日午前の
参院本会議で与党と民主党の賛成多数で可決、成立しました。
施行日は2010年4月となっています。
具体的には次の3つのことが決められました。
①月45時間までは25%以上
②月45時間超から60時間までは引き上げに向けて労使で協議
③月60時間超は50%以上
なお、中小企業には月60時間超の割増率の適用は当面猶予し、
施行から3年後に再検討するようです。
実際に施行されると、残業時間数によって割増率が変ってきます
ので、企業の賃金管理業務が非常に煩雑になってしまうことが予想
されます。また、月60時間以上分の固定残業代を支給している
会社では、手当の額を見直す必要があります。
このままでは大幅な人件費増を免れない企業も多いかと思います。
この改正に対応するための賃金の見直しも早急に解決しなければ
ならない問題ですが、まずは法の趣旨である長時間・過重労働の
防止を達成するために、残業を月60時間以内に抑えることができ
ないか、組織や業務の内容をよく見直してみてはいかがでしょうか?
前回に引き続き裁判員制度について取り上げたいと思います。
来年5月からの裁判員制度スタートに向けて、いよいよ裁判員候補
が決定し、候補者への通知が始まりましたが、まだ従業員が裁判員
に選ばれた際の対応について検討していない会社も多いと思います。
そこで、これから対応を検討する際のポイントをご説明します。
①従業員が裁判員に選ばれたら、休暇を与えなければいけないのか?
⇒裁判員の仕事に必要な休暇を取ることは、労働基準法7条により、
公の職務を執行するものと扱わなければならないので、休暇を認め
なければなりません。
また、裁判員として仕事を休んだことを理由に、解雇などの不利益な
扱いをすることも禁止されています(裁判員法100条)。
②休暇中は有給にしなければならないのか?
⇒必ずしも有給にする必要はありません。
前回ご紹介した調査でも分かるように、大企業では特別有給休暇制度を
導入するところも多いようですが、中小企業では会社の実情に合わせて
無給とすることも検討して下さい。
対象となる裁判の審理日数は、約7割の事件が3日以内で終わると予想
されていますので、従業員には個別の同意を必ず得なければいけませ
んが、既存の年次有給休暇の取得を勧めてみてはいかがでしょうか。
なお、裁判員や裁判員候補に選ばれると、審理の時間などに応じて1日
当たり8千円以内~1万円以内の日当が支給されます。
③人員に余裕がないので、辞退は認められないのか?
⇒裁判員に選ばれたら原則として辞退は認められません。
ただし、「重い病気や怪我」などのやむを得ない理由により辞退が認め
られる場合もあります。
業務を理由とする場合は、その人が選ばれることにより①事業に著しい
損害が発生したり②代わりとなれる人がいない場合に、個別に判断され
るようです。最高裁は、辞退を認める個別の事例集を作り、各地裁宛に
送っているようですが、例えば次のようなケースがあります。
・接待の必要性のある営業職
・卒業、入学シーズンの美容師
・初詣でや海水浴場などに近い店舗の書き入れ時のコンビニ従業員
といったものから
・飲食店のナンバー1ホステス
という例も挙げられています。(店の売上に大きな損害を与えるから)
ただし、あくまで個別の事情で判断されるので、これらのケースに当て
はまっても、ただちに辞退が認められるわけではありません。
まだ対応を決めていない会社でも、このようなポイントや、他企業の動向
なども踏まえて検討をして下さい。
来年5月に始まる裁判員制度に向け最高裁は先月28日、来年の
裁判員候補者名簿に登載された全国29万5207人への通知の発送
を始めました。多くの地域では翌29日に、候補者の自宅に通知が届けら
れるそうなので、既にこの通知を手にしている方は多いと思います。
通知が届くのは有権者の352人に1人の割合なので、従業員100名
くらいの会社であれば、従業員だけでなく、そのご家族まで含めると、
誰か一人くらいは自宅に通知が届いたという人がいるかもしれませんね。
この候補者名簿に載ると、来年5月21日以降に起訴された殺人などの
重大事件の裁判員となる可能性があります。実施まで半年を切り、企業
としては、実際に従業員が裁判員に選ばれた場合、その間の休暇や賃金
をどのように扱うかが重要な問題となります。
これらに関する全般的な動向としては、大企業と中小企業で対応に差が
あるようです。
大企業については日本経団連の調査で、63%の企業がすでに導入した
か導入を決定済みと回答していて、残りの37%の企業もすべて導入を
検討中ということです。また、休暇期間中は86%の企業が有給扱いに
すると決めています。
一方で中小企業については東京商工会議所の調査で、60.8%の企業
が特に何もしていないと回答しており、依然として大半の企業が制度の
対応を検討していないことが分かります。大企業と比べて人員に余裕の
ない中小企業では、辞退などで配慮を求める声も多いようですが、早急に
何らかの対応を決めることが迫まれています。
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