パート・アルバイトの社会保険について考えてみたいと思います。最近、
「保険料を節約したい」、「会社業績が悪いので加入させたくない」など
の理由で、雇用保険や労災保険、健康保険、厚生年金といった社会保
険に正社員だけ加入させ、パート・アルバイトを加入させないケースが
多く見受けられます。こうしたパート・アルバイトの社会保険未加入が、
思わぬ労使トラブルを引き起こす可能性があるので、パート・アルバイ
トの社会保険の適用範囲をよく理解して、社会保険に加入させてリス
クヘッジしておく必要があります。
労災保険には、被保険者という概念がなく、その他の社会保険と違い、
加入手続きを必要としません。したがって、正社員・パート・アルバイト
に関係なく、会社に雇われた時点から全ての社員に適用され、万が一
仕事中にケガをするようなことがあれば、手続きを取ることで労災保険
の給付を受けることができます。
雇用保険は、1年以上の雇用の見込があり、1週の所定労働時間が
20時間以上30時間未満であれば「短時間被保険者」として、1年未満
の雇用見込みであっても、1週の所定労働時間が30時間以上の場合
は「一般被保険者」として加入手続きをしなければなりません。
パート・アルバイトの場合、1年未満の短期契約を反復更新する場合が
ありますが、これらの契約期間を通算して1年以上の雇用見込があれ
ば雇用保険に加入させる必要があります。
パート・アルバイトの健康保険と厚生年金は、1日または1週の所定労
働時間が正社員の概ね4分の3以上であれば、加入手続きをしなけれ
ばなりません。
しかし、パート・アルバイトで、1日または1週の所定労働時間が正社員
の概ね4分の3以上の者であっても、2ヶ月以内の期間を定めて雇用さ
れる者(所定の期間を超えて引き続き使用される場合は適用される)な
どは加入させなくてよいことになっています。しかし、2ヶ月未満の契約を
反復更新している場合において、契約と契約の間が相当期間(2週間程
度)空いていないと前後の期間は通算され、所定の期間を超えて使用さ
れていると判断され、加入手続きをしなければならないケースがあります。
このように適用範囲に基づかないで、全てのパート・アルバイトについて社
会保険を加入させない場合、保険給付の受給に関する労使トラブルに発
展してしまう場合がありますので、パート・アルバイトを適切に加入させ、リ
スクヘッジしておく必要があります。
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