今回は、パート・アルバイトと雇用契約を結ぶ際の注意点について取り
上げてみたいと思います。前回はパート・アルバイトの募集についてご説
明いたしましたが、今回は応募してきた人たちを採用する際の注意点に
ついて考えたいと思います。
パート・アルバイトだからといって、口約束で簡単に雇用契約を成立さ
せてしまうと、賃金や労働時間をめぐってトラブルに陥りやすくなります。
労働基準法でもこうしたトラブルを防止するために、賃金や労働時間を
はじめとする労働者にとって重要な労働条件について書面で明示する
ように定められています。労働基準法にて書面で明示することを求め
ている項目に加えて、トラブルを防止する観点から次の項目について
は書面で明示するべきです。
(1~8については労働基準法にて書面による明示が求められている
項目)
1.労働契約の期間 『いつからいつまで働くのか』
2.就業場所と従事する仕事 『どこで、どのような仕事をするのか』
雑用をはじめとする契約で決められた仕事以外の仕事をやらせる
のはトラブルのもとになります。
3.始業・終業時刻・休憩時間 『何時から何時まで働くのか』
あらかじめ決められた時間で働かせるのか、シフト表で毎週不規
則に働かせるのか明確にしておく必要があります。その際、シフト
表の決め方についても明示しておくべきです。
4.残業の有無 『残業はあるのか』
パートやアルバイトは、家庭や学校の都合で急に欠勤する場合が
あるので、交替要因が見つからない場合には、勤務中のパートや
アルバイトに急遽お願いすることもあるかと思いますので、「残業
は全くない」と明示することについては慎重に行なうべきです。
5.休日・休暇 『休みはいつ、有給休暇や慶弔休暇はもらえるのか』
3と関連して、休日を決まった曜日に与えるのか、それともシフト
表で不規則に与えるのか明確にします。休日は最低1週間に1
日以上、または4週間に4日以上与えるようにします。有給休暇
については、また後日、詳しくご説明いたしますが、パート・アル
バイトでも有給休暇は与えなければなりません。しかし、慶弔休
暇や年末年始休暇、夏季休暇については必ずしも与える必要
はありません。
6.交替勤務の場合の業務の引継ぎ方法
7.賃金額・計算方法・締め日・支払い日・支払方法 昇給の有無
『いつ、いくらもらえるのか』
この賃金に関してが一番重要なところで、パート・アルバイトが
一番気にしますので、明確に明示しなければなりません。
8.退職に関する事項・解雇の事由
『どのようにすれば辞められるのか』
パートやアルバイトは、家庭や学校の事情で急に辞めることにな
ったり、理由もなく突然辞めてしまうことが少なくありません。こう
したことを防止するために、退職の方法について、何日前までに
申し出なければならないか等について明確に明示する必要があ
ります。
9.雇い止めに関する事項
『契約期間が満了しても、契約は更新されるのか』
正しい雇い止めの方法に関しては、後日、詳しくご説明いたします
が、会社側の一方的な都合で、契約を自動更新させて長年働い
てもらっていたパート・アルバイトとの契約を打ち切ってしまうと、
パート・アルバイトが契約を打ち切られるとは思っていなかったと
して、契約の継続をめぐるトラブルになる場合がありますので、
契約を更新することがあるのか、ないのか、契約を更新する場
合の判断基準はどのようなものか明示する必要があります。
その他、社会保険への加入の有無や、退職金の有無、正社員へ
の登用の有無等を明確にしておくことが望まれます。
これらの項目について雇入通知書や雇用契約書に記載して通知
します。
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