出資持分のある医療法人の出資リスクを解消し、事業承継をサポートするために
「持分なし医療法人への移行促進制度」が制定されました。
これは、平成26年10月1日から3年間限定で実施される出資持分に対する相続税・
贈与税の納税猶予及び免除制度です。
この移行計画の認定を受けた医療法人を「認定医療法人」といいます。
この制度を受けるためには、大きく以下の2つの要件をクリアしなければなりません。
1.持分なし医療法人への移行計画(3年以内)を策定し、厚生労働省の認定を受けること |
2.持分なし医療法人への移行計画の認定を受けた旨を記載した定款変更、持分なし医療法人への移行についての定款変更、と2回に渡り定款変更を実施する必要があること |
この制度の主なメリットは以下の3点になります。
1.相続人に発生する出資持分に係る相続税の納税が猶予されること |
2.出資者が出資持分の放棄や一部の払戻しを受けた場合等に、残存出資者に発生するみなし贈与の課税の納税が猶予されること |
3.3年以内の移行期間中に出資持分の放棄した場合には猶予税額が免除されること |
しかし、この移行計画が相続税の負担を不当に減少させたとみなされると、
医療法人を個人とみなして贈与税が課される可能性があります。これを回避するためには、
1.運営組織が適正であること |
2.同族親族等関係者が役員等の総数の3分の1以下であること |
3.医療法人関係者に対する特別利益が禁止されていること |
4.残余財産の帰属先が国、地方公共団体、公益法人等に限定されていること |
5.法令違反等の事実がないこと |
を満たす必要があり、免除を受けるためには厳しい要件があります。この問題をクリア
できなければ、相続人の納税猶予額は免除されず、さらに医療法人に贈与税が課されて
しまう可能性があります。
また、その場合は猶予税額に利子税も合わせて納付しなければなりませんので注意が必要です。
移行を検討している出資持分ありの医療法人は、必ず専門家に相談して下さい。
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