平成25年1月下旬に『平成25年度税制改正大綱』が発表されました。
その中で、社会保険診療報酬の所得計算の特例について下記の概要が発表されました。
『社会保険診療報酬の所得計算の特例を存続させる。なお、その年の医業及び歯科医業に
係る収入金額が7,000万円を超える者を適用対象から除外する措置を講ずる。』
※上記の改正は、個人は平成26年分以後の所得税について適用し、法人は平成25年
4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
今回の社会診療報酬の所得計算特例の改正の経緯を大きく
1.制度の趣旨
2.会計検査院の指摘
3.改正による影響
に分けてお伝えします。
1.制度の趣旨
社会保険診療報酬の所得計算の特例とは、社会保険診療報酬の金額が5,000万円以
下の場合は、その年の経費の金額を当該社会保険診療に係る実際経費に換えて、報酬の金
額に応じて算出した概算経費で計上することができることをいいます。
この制度の趣旨は、小規模医療機関の事務処理の負担を軽減することにより経営の安定
化を図り、良質な医療を提供してもらうことにありました。
2.会計検査院の指摘
会計検査院の検査の結果、主なものとして「多額の自由診療があっても社会保険診療報
酬の金額が5,000万円以下であることにより特例を適用している」がありました。
このことから小規模医療機関を対象にした特例の目的に十分沿ったものではない、との指
摘がありました。
3.改正による影響
今回の改正により、社会診療報酬以外の収入があってもその年の収入が7,000万円
を超える医療機関は、所得計算の特例が使えなくなります。その結果、今までこの所得計
算の特例の恩恵を受けていた医療機関が減りますので、国としては約10億円の増収を見
込んでおります。
この改正により、所得計算の特例が適用できなくなる医療機関は今一度、自院の経理内
容を見直してみて下さい。そして、必ず税額のシミュレーションを行ってください。この
件につきまして、疑問点等がございましたらぜひ弊社までご連絡ください。
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