前回のブログで社会医療法人に関する税制改正について触れました。前回の内容は、自民党の税制改正大綱を基にしたものでしたが、財務省・厚生労働省からも税制改正の概要がホームページに掲載されましたので、比較をしてみました。すると、表現が異なる箇所等がありましたので、その部分をご紹介するとともに、少し深堀りをして考えてみたいと思います。
①税率
自民党の税制改正大綱では、医療保健業に対する部分を非課税とし、収益事業に関する部分を一律22%とされていました。厚生労働省でも同じような内容となっています。
しかし、財務省の税制改正の大綱をみると、税率の表記がありません。その代わりに、社会医療法人を法人税法上の公益法人の範囲に含めることとされています。
公益法人制度改革に伴い、公益法人の税制が改正になったのですが、これに当てはめますと、収益事業部分の所得800万円までは22%、800万円超は30%の税率が適用されることになります。
このように、自民党・厚生労働省と財務省では異なった表現となっておりますので、どちらになるかはまだ分からないといったところでしょうか。
②認定の取り消しがあった場合
社会医療法人の認定の取り消しがあった場合は、「簿価純資産価額から利益積立金額を控除した金額を益金の額に算入する。」とあります。これはどういう意味かと考えると、認定の取り消しがあった場合にはそれまでに医療法人で蓄えてきた医療保健業部分の所得に対して一度に法人税を課税すると読み取ることができます。認定の取り消しが行われなければ問題はありませんが、取り消された場合には遡って課税されることから、社会医療法人の税制は取り消し時まで課税を繰り延べる納税猶予であると考えてもいいかも知れません。
③基金拠出型医療法人への移行税制
経過措置型医療法人が、改正医療法に基づく基金拠出型医療法人へ移行した場合の課税について、自民党・財務省は触れていませんが、厚生労働省では、「円滑な移行を促進する観点から、出資持分の放棄にかかる贈与税課税の判定基準を見直すこととされた」とあります。具体的な内容までは分かりませんが、厚生労働省としては移行を促進したいため、記載されているのではないかと思います。どのような見直しになるかは、最新情報が分かり次第お伝えしたいと思います。
自民党税制改正大綱
http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2007/seisaku-031.html
厚生労働省税制改正の概要
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/12/h1214-2.html
財務省税制改正の概要
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