平成19年8月28日に、厚生労働省が税制改正要望を出しました。2回目の今回は、医療法人制度に関連した要望以外の部分をご紹介します。
(1) 社会保険診療報酬等に係る消費税のあり方の検討
社会保険診療等は国民に必要な医療を提供する高度の公共性を有していることから消費税は非課税とされ、医療機関や保険薬局の仕入れに係る消費税については社会保険診療報酬において措置されているところであるが、今後、消費税を含む税体系の見直しが行われる場合には、社会保険診療報酬等に係る消費税に関する仕組みや負担等を含め、そのあり方について速やかに検討する。
解説
医療機関や保険薬局などは、患者さんから消費税を預っていないのに、薬品や診療材料等を仕入れた際に、消費税を支払っているため消費税の支払損(いわゆる損税)が生じています。この問題を解決するには、抜本的な消費税の改革が必要となります。
(2) 社会保険診療報酬に係る非課税措置の存続
医療とりわけ社会保険診療の高い公共性にかんがみ、社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置を存続する。
(3) 医療法人の社会保険診療以外部分に係る軽減措置の存続
医療事業の安定性・継続性を高め、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保に資する医療法人制度を支援するため、医療法人の社会保険診療以外部分に係る事業税の軽減措置を存続する。
解説
医療機関は、事業税について上記2つの優遇措置を受けています。消費税の損税問題を解決する代わりに、事業税については優遇措置を撤廃するとなってしまっては意味がありません。事業税の優遇措置を残しつつ消費税の損税解決となってもらいたいものです。
(4) 分娩医療機関の正常分娩等の自由診療報酬に係る非課税措置の創設
少子化対策として産科・産婦人科医療支援の充実、地域において安全・安心な「お産」ができる体制を維持するため、分娩を取扱う医療機関の産科・産婦人科における正常分娩等の自由診療報酬に係る非課税措置を創設する。
解説
(2)に記載されているように、医療機関は社会保険診療部分については事業税が非課税とされています。この非課税の範囲に正常分娩等も含めようという要望です。
今回ご紹介した要望は、厚生労働省で出している平成20年度税制改正要望の一部に過ぎません。他の要望も見たいという方は、厚生労働省のホームページをご参照下さい。
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