4月も早いもので後半となりました。そろそろ最初の給与支給時期かと思われます。
社員さんの中には、関係会社から出向で来ている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、今回の間違えやすい消費税シリーズ第28回は“出向社員の給与負担金”です。
Q. 新規事業開拓のため、Y社から出向契約に基づき社員を出向してもらい、
指導を受けることになりました。その際、Y社に対して派遣社員の給料に相当
する額を給与負担金として支払うほか、旅費、通勤費などの実費を支払います。
一方、Y社では、それをそのまま派遣社員に支給をしています。
この場合、当社が負担する給与負担金及び旅費などの実費相当額は、当社の課税仕入れになるのでしょうか?
A.
(結論)
給与負担金は、課税仕入れになりませんが、旅費などの実費相当額は課税仕入れに該当することになります。
(解説)
出向先が、派遣社員の給与相当額の全部または一部を負担した場合には、その負担金の額は、
向先における出向社員に対する給与として取り扱われ、課税仕入れとはなりません。(基通5-5-10)
これは、出向契約においては、出向先と出向社員の間で、雇用関係が生じるためです。
給与相当額の負担の方法としては、次のようなものありますが、
いずれの方法によっても給与負担金については、出向先が負担すべき給与の額と考えますので、
課税仕入れにはなりません。
① 出向元が給料の全額を支払い、その一部を出向先に請求する方法
② 出向先が給料に全額を支払い、その一部を出向元に請求する方法
③ 出向元と出向先がそれぞれ給料の一部を支払う方法
この取扱いは、出向先事業者が「経営指導料」などの名目で支払いを行う場合であっても、
実質的に給与負担金の性質があれば、課税仕入れに該当しませんので、留意が必要です。
なお、旅費、通勤費などの実費相当額については、出向先事業者の事業遂行上必要な経費であり、
課税仕入れに該当します。
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