秋冷の候、朝の空気に爽秋の気配が感じられる頃となり、さわやかな秋晴れの日が続いております。
天高く馬肥ゆる秋、皆様にはますますご壮健のことと拝察いたします。
さて、今回は原点回帰で契約書の意義から考える一例をご紹介いたします。
契約書の意義
課税物件表には、第1号の不動産の譲渡に関する契約書、消費貸借に関する契約書、第2号の請負に関する契約書、第14号の金銭又は有価証券の寄託に関する契約書などのように「×××に関する契約書」という名称で掲げられているものが多くあり、ここにいう契約書は、一般的に言われるものよりかなり範囲が広く、そのため、印紙税法 通則5にその定義規定を置いています。
すなわち、課税物件表に掲げられているこれらの契約書とは、契約証書、協定書、約定書その他名称を問わず、契約(その予約を含みます。以下同じ。)の成立、若しくは更改又は契約の内容の変更、若しくは補充の事実(以下「契約の成立等」といいます。)を証すべき文書をいい、念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書又は契約の当事者の全部若しくは一部の署名を欠く文書で、当事者間の了解又は商慣習に基づき契約の成立等を証することになっているものも含まれます。
したがって、通常、契約の申込みの事実を証明する目的で作成される申込書、注文書、依頼書などと表示された文書であっても、実質的にみて、その文書によって契約の成立等が証明されるものは、契約書に該当することになります。
契約とは、互いに対立する2個以上の意思表示の合致、すなわち一方の申込みと他方の承諾によって成立する法律行為ですから、契約書とは、その2個以上の意思表示の合致の事実を証明する目的で作成される文書をいうことになります。
(印紙税法 通則5、 印紙税法 基本通達12)
<<契約書に綴じこんだ「付属覚書」でのお客様で実際にあった一例です>>
Q. 契約書を作成した後に、これらの「付属覚書」を作成したのですが、これは原契約書の一部ですから、原契約書の後ろに綴じこんで保存しています。このような場合は、全体を一つの文書と判断し、付属覚書には印紙を貼付する必要はないと考えていますが、いかがでしょうか?
A. これは全体をひとつの文書として判定することはできません。
解 説
関連する文書として合わせて保存していても、日時を異にして作成される文書は、
それぞれ各別の文書として印紙税の課否を判定することになります。したがって、
付属覚書に課税事項が記載されている場合には、原契約書とは別に印紙税を納付しな
ければなりません。
日時が同じで「ひとつの文書」の取扱いに該当すれば、全体を「ひとつの文書」とすることになります(基通5)。
秋たけなわの好季節、ご健康に留意され、ますますご活躍されますことを心よりお祈り申し上げます。