今回は、クレジットカード会社の加盟店として、そのカード会社の会員に対して商品を販売することについて定めた約定書について検討していきたいと思います。
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加盟店約定書
○○カード株式会社 御中
平成23年6月1日
加盟店 △△株式会社 印
当社は、貴社の発行する○○カード(以下、「カード」)に基づき、貴社の会員に対して信用販売を行うことに関して下記のとおり約定します。
第1条(信用販売)
貴社の会員が、貴社の発行するカードを提示して、商品等の販売または提供を求めた場合、以下の約定に従い、当社は当該会員に対して信用販売を行うものとします。
第2条(不利益な取扱いの禁止)
有効なカードを提示した貴社の会員に対して正当な理由なくして信用販売を拒絶し、または直接現金での支払いを要求する等の行為は行わないこととします。また会員に現金客と異なる代金等を請求するなど、会員に不利益となる差別的な取扱いは行わないこととします。
第3条(信用販売の方法)
カードの提示による信用販売を求められた場合には、カードの真偽、有効期限、及びカード無効通知を照合し、そのカードが有効なものであることを確認し、両社所定の売上票に所定の事項を記入し、その場で会員による暗証番号の入力、または会員の署名を求めるものとします。
(中略)
第8条(売上債権の譲渡)
当社は、信用販売により取得した売上債権を譲渡するものとします。
2、当社は当該信用販売の売上票を信用販売の種類毎に取りまとめ、所定の売上集計票に添付して信用販売を行った日から原則として10日以内に所定の方法により貴社に送付するものとします。
第9条(支払い)
当社への債権譲渡代金の支払いは毎月15日に当該売上債権総額より第20条に定める手数料を差し引いた金額を当社指定の口座に振り込むことにより行われることとします。
(中略)
第20条(加盟店手数料)
貴社に対して信用販売に係る売上集計票合計額の5%に相当する加盟店手数料を支払うものとします。
第21条(譲渡債権の買戻し等の特約)
当社が貴社に対して譲渡した債権について、売上票が正当なものでないこと、売上票の記載内容が不実不備であること等の事由が生じた場合には、貴社の請求により、当社は、直ちにこれを買戻しいたします。
第22条(契約期間)
本約定の有効期間は差入の日から1ヵ年とします。 (文中、一部省略)
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課否判定
(1) 結論
第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当し、印紙税額は4,000円です。
(2) 理由
・ 印紙税法上の「契約書」に該当するか?
この文書は、「約定書」という名称であり、一方の当事者が相手方に差入れ、押印は差入れる側のみですが、当事者間の了解を証するものであり、印紙税法上の「契約書」に該当します。
・ 何号文書に該当するか?
この文書は、営業者間で、2以上の売買取引を継続して行うことを予定して作成されるものであり、継続する2以上の売買取引に適用される取引条件のうち、目的物の種類(売買の対象物は「売上債権」)、対価の支払方法を定めているので、第7号文書に該当します。
また、信用販売に基づく売上債権の譲渡も内容に含まれていますから、第15号文書にも該当します。
この場合は、通則3のハの規定(二以上の号に該当する文書は最も号数の少ない号とする)により、第7号文書に該当することとなります。
にこにこたらこ