今回は「過怠税」についてお伝えします。
課税文書について、作成の時までに印紙の貼付をしなかった場合には過怠税が徴収されます。その金額は印紙税相当額の3倍(印紙税相当額+その2倍に相当する金額)にもなります。いわゆる3倍過怠税と言われるものです。
◎ 過怠税の合計額が1,000円に満たない場合には1,000円になります。
◎ 3倍過怠税の賦課決定に異議がある場合には、異議申立てをすることができます。
◎ 連帯納付の課税文書に不納付があった場合には双方に通知がなされ、いずれかが納付することになります。
◎ 決定された金額3倍分全てが損金不算入(法人税)又は、必要経費不算入(所得税)になります。
税務調査等により、過怠税が賦課されることを予知した場合を除いて、作成者が自主的に「不納付事実の申出」を行ったときは、納付する過怠税の金額は印紙税相当額の1.1倍(印紙税相当額+その100分の10に相当する金額)になります。
◎ 1.1倍分全てが損金不算入又は必要経費不算入になります。
◎ 自主的な申出によるため、不利益な処分とはならないことから異議申立てはできません。
◎ 課税文書のうち相手方に交付するものについては、不納付の事実を発行者に対する税務調査で把握し証明することは相当な困難を要します。そこで、発行者に対して自主的に申出をすれば過怠税を軽減するという趣旨でできた制度になります。また、自主申出によるものであるため異議申立て等の対象にもなりません。
◎ 連帯納付の場合の課税文書の作成場所の考え方は複雑であり、必ずしも契約書に記載された場所であるとは限りません。3倍過怠税の賦課決定を行う場合には作成場所の所轄税務署長に通報しなくてはいけませんので相当の手間隙を要します。このような場合においても不納付の申出書を提出すれば、課税文書の作成者や作成場所が特定されますので、賦課決定が容易にできると考えられます。
◎ 税務調査において、不納付を指摘されたときに、その場で印紙の貼付をした場合には、納税義務が発生した時点(課税文書作成時)から時が経過しているため、その効力は無効となり、貼付した印紙は過誤納確認請求の対象であり、3倍過怠税の対象となります。
消印をしていなかったり、二重線などのように本来の消印でないような場合には、不消印による過怠税として印紙税相当額が徴収されます。いわゆる1倍過怠税です。
このように印紙税は判断が難しいにも係わらず、多額の過怠税が課されてしまいます。会計処理上見逃されがちな部分ですが、印紙を取り扱う時には慎重に処理したいものですね。
kao