今回は、契約書などで、契約金額自体の記載がされていないもので「契約金額の計算ができる場合」について解説致します。
例えば、単価と取扱数量が記載されているような場合には、記載されている単価に取扱数量を乗じることで、契約金額の計算をすることができます。
このような場合においては、その計算により算出された金額を記載金額として取り扱うこととされています。
【事例】
~物品加工組立契約書~ (A)
1. 契約内容…玩具組立
2. 契約数量…20個
3. 契約単価…1個につき5,000円
以上の内容により契約をします。
《解説》
この契約書は、玩具を加工組み立てすることを内容とするものであり、第2号の「請負に関する契約書」に該当します。以下(B),(C)についても同様です。
この例では契約金額自体の記載がありません。しかし、数量と単価の記載があることにより、契約金額の計算ができるので、その計算による金額が記載金額となります。
1個5,000円×20個=100,000円
記載金額は100,000円となり、200円の印紙貼付となります。
【事例】
~物品組立加工契約書~ (B)
- 契約内容…玩具組立
- 契約数量…20ケース(1ケース5個入)
- 契約単価…1個50,000円
以上の内容により契約をします。
《解説》
この例でも、契約金額自体の記載はありませんが、Aの事例と同じく計算ができるので、その計算による金額が記載金額となります。
1個50,000円×5個×20ケース=5,000,000円
記載金額は、5,000,000円となり、2,000円の印紙貼付となります。
【事例】
~物品加工組立契約書~ (C)
- 契約内容…玩具組立
- 契約数量…10ケース(1ケース50個入)
- 契約単価…別に取り決めます
以上の内容により契約をします。
《解説》
この例では、契約金額自体の記載がなく、単価は別に取り決めるという文言が記載されているので、契約金額の計算をすることができないので、記載金額のない契約書となり、200円の印紙貼付となります。
仮に、単価のみを取り決めた文書を作成し、それが印紙税法上の契約書に該当するのであれば、その文書が記載金額のない第2号文書となります。そうすると、契約金額を引用しない記載(単価は別に取り決めるという記載にすれば引用の対象となる文書が特定されないので、引用されません)にすれば、物品加工契約書(C)は200円の印紙貼付、単価を取り決めた文書も200円の印紙貼付となり、印紙税の節税となります。
「契約金額の計算ができるとき」についてこのような取扱いをする趣旨は、
① 契約書に契約金額を記載している文書
② 契約金額は記載されていないが単価や数量の記載があり、契約金額の計算ができるような文書
という同じような経済効果を生じさせている文書に対して、異なる適用税率を適用することは課税の公平の考え方に反するためです。
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