~決算隊ブログ 9~ 「申込書」等と表示された文書の取り扱い
前回までは、印紙税法上の原則的な契約書についての考え方を説明してきましたが、今回は、本来は印紙税法上の契約書の概念には当たらないものの、取引の形態や実情、慣習などから契約書として取り扱うべきである、とする趣旨により、特例的な取扱がされているものをご紹介いたします。
【事 例】
注文書
金 5,250,000円
注文内容 ●●社屋改装工事一式
施工期日 平成22年12月16日
本注文書は、貴社からの工事ご提示の内容に基づいて作成したものであり、この内容のとおり、貴社に工事を注文 させていただきます。
(ご提示の内容)
ご提示日 平成22年10月1日
ご提示金額 5,250,000円
平成22年11月29日
○○工務店 様
株式会社 ●● 印
≪解 説≫
この文書は、一見普通の注文書です。注文書は、申込の事実を証する文書ですので、契約の成立を証明するものではありません。
しかし、この文書の内容を見ると、この注文書を発行する前に相手方から工事に関する内容の提示があり、その内容に基づいて作成されたことが認められます。
さらに、「この内容のとおり、貴社に工事を注文させていただきます」という文言や、注文の内容が相手方からの提示の内容と同じものであることから、この注文書は相手方からの申込に対する応諾の事実を証明しているものであるといえます。そのため、印紙税法上の契約書に該当することになります。
本来であれば書類の作成は申込の誘因→申込→契約という流れに沿って行われるので、通常は契約の時点で作成する文書が印紙税法上の契約書として課税されることになるのですが、本事例の注文書では、先に工務店からの工事金額等の提示(申込の誘因)があって、その提示に沿って注文していることが文書上明らかですから、契約の成立を証するものとして取り扱うことになるのです。
≪POINT≫
申込書、注文書、依頼書等と表示された文書で、相手方の申込に対する承諾事実を証明する目的で作成されるものは、印紙税法上の契約書として取り扱われます。
うじゅ☆