~決算隊ブログ 42~
今回は、建物賃借時の権利金の支払いとその償却に関する仕訳をご紹介いたします。
【設例】
① 事務所用の建物を賃借することになり、権利金(返還されないもの)として840,000円(税込)を小切手で支払った。
② 入居後3ヶ月で決算を迎え、権利金について償却を行った。
【仕訳】
① 支払時
(借)権利金 800,000円 (貸) 現金預金 840,000円
仮払消費税等 40,000円
③ 決算時
(借)権利金償却 40,000円 (貸) 権利金 40,000円
※計算:800,000円×1/5×3/12
【解説】
建物を賃借するために支払う権利金(返還されないもの)は、税務上繰延資産に該当
しますが、会社法上は「長期前払費用」として処理されることが多く、その様態に応じ、
以下のように償却年数が定められています。
① 賃借建物の建設費用の大部分に相当し、建物の存続中使用できる場合・・・その建物の耐用年数の7/10に相当する年数
② 借家権として転売できる場合・・・その建物の賃借後の見積耐用年数の7/10に相当する年数
③ 上記以外の場合(本設例の場合)…5年
※ただし、契約による賃借期間が5年未満の場合で、契約更新時に再び権利金などの支払をすることが明らかであるときは、その賃借期間
<消費税について>
事業用建物の賃貸借契約における返還されない権利金・礼金は課税取引に該当し、仕
入税額控除の対象となります。(土地や居住用建物の賃借にかかるものの場合は非課税と
なります。また、契約終了時に返還される保証金・敷金などは資産の譲渡等に該当しな
いので、課税対象外となります。)
また、償却は課税対象外取引です。