今回は、役員報酬の適正額についてまとめます。
1.趣旨
公益法人の理事等の報酬等が不当に高額な場合には、法人の非営利性を潜脱するおそれがあります。このため、認定法では、理事等に対する報酬等が不当に高額なものとならないよう支給の基準を定めることを求め、当該支給基準は公表するとともに、その基準に従って報酬等を支給することを定めています。支給基準は、理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分、その算定方法、支給の方法、支給の形態を明示しなければなりません。なお、無報酬でも問題はなく、その場合は無報酬である旨を定めることになります。
2.支給基準の要件
① 理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分
理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分とは、常勤役員、非常勤役員の報酬の別等をいい、例えば、常勤理事への月例報酬、非常勤理事への理事会等への出席の都度支払う日当等になります。
② その額の算定方法
その額の算定方法とは、報酬等の算定の基礎となる額、役職、在職年数等により構成される基準等をいい、どのような過程をたどってその額が算定されるかが第三者にとって理解できるものとなっている必要があります。例えば、役職に応じた一人あたりの上限額を定めたうえ、各理事の具体的な報酬金額については理事会が、監事や評議員については社員総会(評議員会)が決定するといった規定は、許容されるものと考えられます。一方、社員総会(評議員会)の決議によって定められた総額の範囲内において決定するという規定や、単に職員給与規程に定める職員の支給基準に準じて支給するというだけの規定では、どのような算定過程から具体的な報酬額が決定されるのかを第三者が理解することは困難であり、認定基準を満たさないものと考えられます。また、退職慰労金について、退職時の月例報酬に在職年数に応じた支給率を乗じて算出した額を上限に各理事については理事会が、監事や評議員については社員総会(評議員会)が決定するという方法も許容されるものと考えられます
③ 支給の方法
支給の方法とは、支給の時期(毎月か出席の都度か、各月または各年のいつ頃か)や支給の手段(銀行振込か現金支給か)等をいいます。
④ 支給の形態
支給の形態とは、現金・現物の別等をいいます。ただし、報酬額につき金額の記載しかないなど金銭支給であることが客観的に明らかな場合は、「現金」等の記載は特段なくても構いません。