現在、公益法人制度改革の真只中にありますが、「公益」とは何かお考えになったことはありますか?法律上、「公益」について直接その概念を規定しているものはありませんが、「営利」と「非営利」、「公益」と「私益」の対立概念を理解することで、「公益」についての理解がしやすくなると思われますので、ここで整理しておきたいと思います。
1.営利と非営利の違いは何?
一般に、対外的な経済活動によって利益を獲得し、その得た利益を株主に分配している企業を営利企業と言います。非営利にはその反対の、①「剰余金の分配を目的としない」という意味と、②「利益を追求しない」、「収益事業を行わない」といった意味がありますが、「一般社団法人と一般財団法人は非営利法人である」と言われる場合の「非営利」は①のみを意味しています。一方、法人税法上の「非営利型法人」は「非営利性が徹底された法人」とよく言われますが、ここで言う「非営利」は①のみならず、「定款に解散時の残余財産が公益社団・財団法人等の一定の公益団体に帰属させる旨の定めがあること」等を要件として追加しております。このように、「非営利」は語られる文脈によって意味が異なる場合がありますが、「剰余金の分配を行わない」ということがキーワードになります。
2.「公益」と「私益」の違いは何?
公益か私益かは、自己の有する経済的・知的要素を個人的に利用するか、社会一般のために利用するかという、その事業の社会的・文化的特質によって決まるものであり、絶対的なものではありません。かつては、法人の目的が主務官庁から公益目的とされ、その事業が目的に照らして適切と認められたとしても、時代の推移とともに社会環境が変わり、ゴルフ事業などのように、現在では社会通念として公益目的事業とは考えにくいものもあるかもしれません。公益法人認定法において、公益目的事業について、「学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の利益の増進に寄与するもの」と規定しています。「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」に該当する事実があるか否かの事実認定する際の留意点を公益認定等委員会が「公益目的事業のチェックポイント」として公表しております。但し、このチェックポイントに適合しなければ直ちに公益目的事業に該当しないというものでなく、認定の際の目安として規定しているものなので、申請者には「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」であることを積極的に説明することが求められます。